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「特養おやつ窒息事件」逆転 無罪判決

2020.07.29

月刊デイ編集長:妹尾弘幸の私感

2013年に長野県の特別養護老人ホームで、おやつのドーナツを食べた後に窒息死亡した事故で、業務上過失致死に問われていた准看護師に対する控訴審判決が行われ、東京高裁は無罪の判決を下しました。


この事件で感じた3つのポイント

【ポイント1】

「刑事責任」「賠償責任」が個人にまで問われている事例が医療・介護業界で広まっているということです。

これがまかり通ってしまうと、業務中の個人単位での業務遂行が萎縮していくことや、この業界そのものを選ばなくなってくることにつながりかねません。(訴訟リスクの高い産婦人科や小児科医の減少など)

【ポイント2】

事故発生から、約7年もの年月が流れているということです。

この7年の間の准看護師の気持ちや置かれた立場・処遇を考えると心が痛みます。

【ポイント3】

今回の判決から言えることは、誤嚥リスクがあると認識されている場合は罪に問われる可能性があるということです。(まだ判決文を全文見ていないため憶測でありますが…)

「食事中にむせる」ということは、要介護高齢者にはよく見られる症状です。

この場合まで、罪に問われるとなると「事業所・法人」として通常の食事提供を躊躇せざるを得なくなってしまいます。

食事は栄養補給だけでなく「食べる楽しみ」も重要な要素であり、機能低下がない人が流動食やゼリー食ばかり食べていると「咀嚼・嚥下機能」の低下を促進することになってしまいます。

また、「知識」「技術力」が低い事業所ほどこのちようなリスク発見能力が低く、記録などにも残らないため窒息などを起こす危険性が高いにも関わらず、罪に問われにくくなるという可能性が高いということも問題として出てきます。

場合によっては、「むせなどの窒息リスクを想起させる記録は残さない方がよい」と判断する施設や事業所が出てくる恐れがあります。


事故が発生するたびに厳しくなるルール

縛りやルールを厳しくしていくことは、事故予防(リスクマネジメント)の意味から考えると必要だと思います。

しかし【生活を支援する】という介護の視点から考えると、縛りやルールが多くなれば多くなるほど【非日常の生活を支援する】ことに近づいていってしまいます。

一人ひとりに高い観察力と事故予防能力があっても、事故を完全に防ぐことは不可能です。

「事故予防」と「訴訟予防」ではアプローチが異なりますが、いずれにしても、今後法人や事業所で「自分達は何を優先して、何を捨て去るのか」を明確にしていくことが問われてくるのではないでしょうか。

新型コロナウィルス感染症も今回の事件も社会は、介護業界に「何」を求めて「何」を問うているのでしょうか。

そして、この問いに対して介護分野はどう応えていくべきなのでしょうか。

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