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令和6年度の個別機能訓練加算の事務処理手順について(全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料)

2024.03.14

通所介護及び地域密着型通所介護(以下「通所介護等」という。)における個別機能訓練加算を算定する利用者については、住み慣れた地域で居宅において可能な限り自立して暮らし続けることを目的とし、生活機能の維持・向上を図るために、個別機能訓練を実施することが求められる。

本加算の算定要件については、令和三年度介護報酬改定において、より利用者の自立支援等に資する個別機能訓練の提供を促進する観点から、これまでの個別機能訓練加算の取得状況や加算を取得した事業所の個別機能訓練の実施状況等をふまえ、個別機能訓練の実施目的や実施体制、加算取得にあたっての人員配置について見直しを行ったところであり、今般、短期入所生活介護(介護予防含む)における個別機能訓練加算と併せて、改めて個別機能訓練加算の目的、趣旨の徹底を図るとともに、加算の実行性を担保するため、個別機能訓練加算の事務処理手順例及び様式例を示すこととする。


[算定手順]

個別機能訓練加算の算定にあたっては、以下の【1】~【3】の実施が必要となる。

通所介護事業所等の管理者は、これを参照し、各事業所における個別機能訓練実施に関する一連の手順をあらかじめ定める必要がある。


【1】加算算定にあたっての目標設定・個別機能訓練計画の作成

(1)利用者の社会参加状況やニーズ・日常生活や社会生活等における役割の把握、心身の状態の確認

機能訓練指導員等は、個別機能訓練の目標を設定するにあたり、以下の①~④により、利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割の把握及び心身の状態の確認を行う。


① 利用者の日常生活や社会生活等について、現在行っていることや今後行いたいこと(ニーズ・日常生活や社会生活等における役割)を把握する。

これらを把握するにあたっては、興味・関心チェックシートを活用すること。

またあわせて、利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割に対する家族の希望を把握する。


② 利用者の居宅での生活状況(ADL、IADL等)を居宅訪問の上で確認する。

具体的には、生活機能チェックシートを活用し以下を実施する。

ア 利用者の居宅の環境(居宅での生活において使用している福祉用具・補助具等を含む)を確認する。

イ ADL、IADL項目について、居宅の環境下での自立レベルや実施するにあたっての課題を把握する。


③ 必要に応じて医師又は歯科医師から、これまでの利用者に対する病名、治療経過、合併疾患、個別機能訓練実施上の留意事項についての情報を得る。

直接医師又は歯科医師から情報が得られない場合は、介護支援専門員を通じて情報収集を図ること。


④ 介護支援専門員から、居宅サービス計画に記載された利用者本人や家族の意向、総合的な支援方針、解決すべき課題、長期目標、短期目標、サービス内容などについて情報を得ること。


(2)多職種協働での個別機能訓練計画の作成

(1)で把握した利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割及び心身の状態に応じ、機能訓練指導員等が多職種協働で個別機能訓練計画を作成する。

その際、必要に応じ各事業所に配置する機能訓練指導員等以外の職種(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士等)からも助言を受けることが望ましい。

① 個別機能訓練計画書の作成(総論)

個別機能訓練計画は別紙様式3-3を参考に作成すること。

なお、個別機能訓練計画に相当する内容を通所介護計画又は地域密着型通所介護計画の中に記載する場合は、その記載をもって個別機能訓練計画の作成に代えることができる。

また、個別機能訓練計画の作成にあたっては、居宅サービス計画、通所介護計画又は地域密着型通所介護計画と連動し、これらの計画と整合性が保たれるように行うことが重要である。

② 個別機能訓練目標・個別機能訓練項目の設定

ア 個別機能訓練目標の設定

(1)で把握した利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割及び心身の状態に応じ、機能訓練指導員等が協働し、利用者又は家族の意向及び利用者を担当する介護支援専門員の意見も踏まえつつ、個別機能訓練目標を設定する。

なお、目標設定にあたっては、当該利用者の意欲の向上に繋がるよう、長期目標・短期目標のように段階的な目標設定をするなど、可能な限り具体的かつ分かりやすい目標とすること。

<長期目標の設定>

長期目標は生活機能の構成要素である体や精神の働きである「心身機能」、ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」、家庭や社会で役割を果たすことである「参加」をバランスよく含めて設定することが求められる。

具体的には、利用者が住み慣れた地域で居宅において可能な限り自立して暮らし続けることができるよう、単に座る・立つ・歩くといった身体機能の向上を目指すことのみを目標とするのではなく、居宅における生活行為(トイレに行く、自宅の風呂に一人で入る、料理を作る、掃除・洗濯をする等)や地域における社会的関係の維持に関する行為(商店街に買い物に行く、囲碁教室に行く、孫とメールの交換をする、インターネットで手続きをする等)等、具体的な生活上の行為の達成を含めた目標とすること。


<短期目標の設定>

長期目標を設定した後は、目標を達成するために必要な行為ごとに細分化し、短期目標として整理する。

(例)長期目標が「スーパーマーケットに食材を買いに行く」の場合必要な行為


・買いたい物を書き記したリストを作る

・買い物量を想定し、マイバッグを用意する

・スーパーマーケットまでの道順を確認する

・スーパーマーケットまで歩いて行く

・スーパーマーケットの入り口で買い物かごを持つ

・スーパーマーケットの中でリストにある食材を見つける

・食材を買い物かごに入れる

・レジで支払いをする

・買った品物を袋に入れる

・買った品物を入れた袋を持って、自宅まで歩いて帰る


個別機能訓練項目の設定

短期目標を達成するために必要な行為のうち、利用者の現状の心身機能等に照らし可能であること、困難であることを整理する。

利用者の現状の心身機能等に照らし困難であることについて、どのような訓練を行えば可能となるのか検討する。

(例)

前記の事例において、歩行機能が低下していることから、「スーパーマーケットまで歩いて行く」「スーパーマーケットの中でリストにある食材を見つける」「買った品物を入れた袋を持って、自宅まで歩いて帰る」ことが困難である場合、自宅からスーパーマーケットまでの距離等を勘案した上で、


・歩行機能を向上させる訓練(筋力向上訓練、耐久性訓練、屋内外歩行訓練等)

・歩行を助ける福祉用具(つえ等)を使用する訓練

・歩行機能の向上が難しい場合、代替的な移動手段となりうる福祉用具(電動車いす等)を使用する訓練


を行うことが想定される。

目標を達成するために必要な行為を遂行できるように、生活機能を向上させるための訓練項目を決定する。

なお、訓練項目の決定にあたっては、利用者の生活機能の向上に資するよう複数の種類の訓練項目を準備し、その項目の選択に当たっては、利用者の生活意欲の向上に繋がるよう利用者を援助すること。

生活機能の向上のためには、通所介護等提供中に個別機能訓練を行うのみでなく、利用者が日々の生活においてもできる限り自主訓練を行うことが重要であることから、利用者が自身で又は家族等の援助を受けて、利用者の居宅等においても実施できるような訓練項目をあわせて検討し、提示することが望ましい。


イ 利用者又はその家族への説明と同意

利用者又はその家族に対し、機能訓練指導員等が個別機能訓練の内容について分かりやすく説明を行い、同意を得ること。

またその際、個別機能訓練計画を交付(電磁的記録の提供を含む)すること。


ウ 介護支援専門員への報告

介護支援専門員に対し、個別機能訓練計画を交付(電磁的記録の提供を含む)の上、利用者又はその家族への説明を行い、内容に同意を得た旨報告すること。


【2】個別機能訓練の実施

(1)個別機能訓練の実施体制

個別機能訓練加算に係る個別機能訓練は、類似の目標を持ち、同様の訓練項目を選択した五人程度以下の小集団(個別対応含む)に対して機能訓練指導員が直接行うこととする。

なお、機能訓練指導員が直接個別機能訓練を行っていれば、その補助者として看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が個別機能訓練に関与することは差し支えない。

個別機能訓練の目標を具体的な生活上の行為の達成としている場合、実際の生活上の様々な行為を構成する実際的な行動やそれを模した行動を反復して行うことにより、段階的に目標の行動ができるようになることを目指すことから、事業所内であれば実践的訓練に必要な浴室設備、調理設備・備品等を備えること、事業所外であれば、利用者の居宅や近隣の施設等に赴くこと等により、事業所内外の実地的な環境下で訓練を行うことが望ましい。


(2)訓練時間

個別機能訓練計画に定めた訓練項目の実施に必要な一回あたりの訓練時間を考慮し適切に設定すること。


(3)訓練実施回数

個別機能訓練の目的を達成するためには、生活機能の維持・向上を図る観点から、計画的・継続的に個別機能訓練を実施する必要があり、おおむね週一回以上実施することを目安とする。


【3】個別機能訓練実施後の対応

個別機能訓練加算に係る個別機能訓練を開始した後は、


・個別機能訓練の目的に照らし、個別機能訓練項目や訓練実施時間が適切であったか、個別機能訓練の効果(例えば当該利用者のADL及びIADLの改善状況が現れているか等について、評価を行う。

・三月ごとに一回以上、利用者の居宅を訪問し、利用者の居宅での生活状況(起居動作、ADL、IADL等の状況)を確認する。

・利用者又はその家族に対して個別機能訓練の実施状況や個別機能訓練の効果等について説明し、記録する。

・個別機能訓練の実施状況や個別機能訓練の効果等についての説明・記録は、利用者の居宅を訪問する日とは別の日にICT等を活用し行っても差し支えない。

・おおむね三月ごとに一回以上、個別機能訓練の実施状況や個別機能訓練の効果等について、当該利用者を担当する介護支援専門員等にも適宜報告・相談し、利用者又はその家族の意向を確認の上、当該利用者に対する個別機能訓練の効果等をふまえた個別機能訓練の目標の見直しや訓練項目の変更を行う。


等、適切な対応を行うこととする。


【情報提供元】

全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議別冊資料(介護報酬改定)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38294.html


【学ぶ】

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