認知症基本法では、「自らの意思によって日常生活及び社会生活を営むこと」、「認知症の人の意向を十分に尊重しつつ、良質かつ適切な保健医療サービス及び福祉サービスが切れ目なく提供されること」などが基本理念として掲げられています。
よって、介護事業所のサービスにおいても、本人の意思を尊重したケアを行う必要があります。
[認知症基本法の基本理念と目的]
・すべての認知症の人が、自らの意思によって日常生活及び社会生活を営むことができる
・国民が認知症に関する正しい知識及び認知症の人に関する正しい理解を深める
・認知症の人にとって日常生活または社会生活を営む上で障壁となるものを取り除く
・認知症の人の意向を十分に尊重しつつ、良質かつ適切な保健医療サービス及び福祉サービスを切れ目なく提供する
・認知症の人だけでなく、その家族などに対しても必要な支援を行う
・認知症予防や診断・治療・リハビリなどの研究成果を広く普及・活用・発展させる
[介護事業所に求められること]
・国や地方公共団体が実施する認知症施策への協力
・学校などの教育の場や地域を活用した認知症についての知識、認知症の人への対応などの情報の発信
・認知症の利用者本人の意思を尊重したサービスの実施
・認知症の利用者本人・家族からの相談に応じる体制の整備
・認知症の利用者が社会参加する機会を設ける
BPSDの原因に対するアプローチの必要性
BPSDは、高次脳機能障害にストレスなどのきっかけが加わることで発症します。BPSDに対するケアとしては、主に症状にアプローチする「対症ケア」と原因にアプローチする「根治ケア」がありますが、特に「根治ケア」が重要です。
ただし「食べ物ではないものを食べようとしている」「ほかの利用者をたたこうとする」など、本人や周囲に危険が及ぶ場合には、安全確保のために「対症ケア」と「根治ケア」を組み合わせて行う必要があります。
■対症ケアの例
デイサービス利用中に「家に帰りたい」という利用者に対して、「お茶でも飲みましょう」「もう少ししたら家にお送りしますから、それまで座っていましょう」などと気をそらしたりなだめたりすることで、気持ちを落ち着けてもらう
■根治ケアの例
デイサービス利用中に「家に帰りたい」という利用者に対して、活動内容や量を見直し、本人が趣味としていた園芸や農作業などの活動を取り入れることで、デイで過ごす時間を楽しんでもらえるようにする
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