
2026年1月28日、中央社会保険医療協議会で「令和8年診療報酬改定の個別改定項目(その2)」が公表されました。
「医療改定だから、介護には関係ない」と感じてしまうと危険です。
今回の診療報酬改定は、これからの介護事業者にとって無関係ではない内容です。
ひと言で言えば、病院の役割が変わりその分、介護の役割が増えることを意味しています。
この流れがはっきり示されました。
【1】「病院に入院し続ける時代」は終わる…入院医療の見直し
<厚労省資料から重要記述抜粋>
「入院医療について、患者の状態像に応じた医療提供体制を構築する観点から、入院料の体系の在り方について見直しを行う。」
「重症度、医療・看護必要度の評価方法について、患者像の変化等を踏まえ見直す。」
これは「本当に入院が必要な人だけを病院に残す」「本当に入院が必要なのか?」という方針転換であり、これまで以上に医療が厳しく見られるということです。
この見直しによって、
・長期入院は減る
・退院のタイミングが早まる
・医療ニーズのある高齢者が地域に戻ってくる
という流れになり、「病院にいた人が、介護の現場に戻ってくる」という変化がおきます。
介護事業者にとっては、「軽度者中心の運営」が難しくなる半面、病院側との形式だけでない連携が必要不可欠になります。
【2】入退院支援の見直し
今回の改定で特に重要なのが入退院支援です。
<厚労省資料から重要記述抜粋>
「退院後の生活を見据えた支援を評価する観点から、入退院支援に係る評価の在り方について見直しを行う。」
「医療・介護の連携を推進する観点から、多職種による情報共有や連携体制の評価を行う。」
これまでの役割として「治療は病院、生活は介護」という分業でしたが、「医療と介護が連携していなければ評価しない」という制度設計へとモデルチェンジされます。
受け皿である介護事業所の立場は大きく変わります。
・病院とつながっている事業所は選ばれる
・つながっていない事業所は声がかからなくなる
・退院支援に関われない介護は価値が下がる
「病院と連携できる介護事業所」が生き残れる時代に入りました。
【3】医療の主戦場が変わり在宅医療・訪問看護の強化へ
<厚労省資料から重要記述抜粋>
「在宅医療の推進の観点から、在宅医療に係る評価の充実を図る。」
「訪問看護の機能や役割の拡大を踏まえ、評価の見直しを行う。」
これは病院で診る医療は縮小し、在宅で診る医療の拡大を表しており、医療の中心が、病院から地域へ移ります。
これに伴い、介護の現場では
・医療ニーズの高い利用者が増える
・看護師との連携が必須になる
という状況が発生し「生活支援だけをしている介護」は制度ビジネスとして成立しにくくなります。
【4】「ベッド上の訓練」から「生活訓練」へ医療におけるリハビリの考え方の変化
<厚労省資料から重要記述抜粋>
「早期からのリハビリテーションの実施や、退院後の生活を見据えたリハビリテーションの評価を行う。」
「リハビリテーションの質の向上を図る観点から、アウトカム評価の在り方について検討する。」
評価の軸が「どれだけ訓練したか」ではなく「どれだけ生活に戻れたリハビリができたか」に移行していきます。
介護事業者にとっては、
・リハビリテーション、機能訓練は付加価値ではなく前提条件
・通所介護と通所リハの境界が薄れる
・リハ職は事業所内の人材で留まるのではなく、地域リハビリの人材になる
という流れが予想されます。
【5】人材不足を前提とした制度設計
<厚労省資料から重要記述抜粋>
「医療従事者の負担軽減やタスク・シフト/シェアの推進の観点から、評価の在り方について見直す。」
多職種連携が前提条件となり、医療の一部が介護側に移ることで介護の役割が広がることも想定されます。
介護は医療の外側という立ち位置ではなく、医療を支える一部になります。
【6】今回の診療報酬改定の方向性を示すキーワード
・在宅医療の推進
・医療と介護の連携
・退院後の生活重視
・多職種連携
病院だけで完結する医療は終わり、地域で支える医療に移ることで介護と医療は切り離せなくなります。
病院が縮小する半面、在宅療養支援や地域医療は拡大してきます。
それに伴い介護医療連携も今まで以上に必須になります。
つまり「医療と無関係な介護事業者」は成立しにくくなります。
【7】介護事業者がするべきこと
(1)医療連携できる体制づくり
訪問看護との関係づくりや病院の地域連携室との接点づくりが必要不可欠です。
また、地域での多職種連携の仕組みづくりの一員になるための根回しも必要です。
(2)軽度者中心モデルからの転換または+α
医療の受け皿となるために、重度者対応の準備も迫られます。
既存の通所サービスにプラスをした複合サービス化の検討も必要です。
(3)2027年介護報酬改定を見据える
「在宅医療連携」「看取り」「ACP」がキーワードとなり対応できる体制づくりが必要です。
医療依存度の高い利用者への対応力や介護報酬に頼り切らない事業モデルも検討事項となります。
医療の変化をどう受け止め、地域、介護事業所としてどう引き受けていくかが今後重要になります。
2026年診療報酬改定は、2027年介護報酬改定に向けた準備期間でもあります。
そこに気づいている事業所と気づいていない事業所の差は確実に広がっていきます。
【お役立ち情報】
中央社会保険医療協議会総会(第645回)
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001643628.pdf
【お役立ち研修】
次世代介護マネジメントフォーラム
https://tsuusho.com/managementforum






















