会長:妹尾弘幸の報告
2020年7月20日(月)に「第180回社会保障審議会介護給付費分科会」(WEB会議)が開催されました。
現在は各分野に関しての大まかな意見・要望等を聞く第1ラウンドです。
例年8月までに「全般的テーマ」「各事業」について大まかに課題提起し、意見聴取をする第1ラウンドが行われ、9~11月に詳細を詰める第2ラウンドが行われます。
そして12月中旬に最終案を詰めていき、12月20日頃に単位数の入らない形での単価表ができ、1月中旬から下旬にかけて具体的な単価が入った単価表が出来上がります。
今回のテーマは、通所系 【通所介護・地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、療養通所介護、通所リハビリ】と短期入所【短期入所生活介護、短期入所療養介護】、福祉用具・住宅改修についてでした。
※あらかじめ断っておきますが、文章内容はあくまでも私の個人的かつ勝手な感想・考えでありますのでそのつもりで読んでいただければ幸いです。
通所系サービスの状況
【1】通所介護
通所介護の利用者は増えていますが、事業所は増えていません。
費用は微増です。
ここから推測されることは、デイの利用率は上昇、1人当たりの単価は低下の【薄利多売方式】に移行しつつあるということです。
【2】通所リハ
通所リハは、「維持期・生活期の疾患別リハビリテーションの介護保険への移行」もあってか、事業所数は2.3%増、利用者数も2.7%増、費用は-1.4%と微減でした。
ここから推測されることは、1人当たりの【単価低下】です。
各委員は厚労省提出の資料を基に議論をしていくので、厚労省がどのような資料をどのような形で出しているかによって、「改定したい課題」と「それをどのような方向に導きたいのかという意図」がある程度読み取れます。
(もちろん、厚労省が意図した通りに結論されるとは限りませんが…)
認知症対応型通所介護は次回改定で山間部へのサービス提供加算!?
通所介護・地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護の資料数は65ページありましたが、その中で「認知症対応型通所介護」のみについて言及しているのは、「経営状況」と「山間部へのサービス提供加算が無い」という2ページのみでした。
※ちなみに、その他サービスの言及ページ数は下記の通りでした
「療養通所介護」…28ページ
「通所リハ」…47ページ
「短期入所生活介護」…38ページ
「短期入所療養介護」…29ページ
「福祉用具・住宅改修」…30ページ
次回改定では、認知症対応型通所介護に「山間部へのサービス提供加算」が付きそうです。(私の私見ですが…)
通所介護は前回改定で創設の新規加算の算定率は低調
通所介護・地域密着通所介護では、前回改定で創設の新規各加算における算定率が低い事について、多くの委員から意見が出されました。
前回までの議論で「ADL維持等加算」に関しては単価アップの方向性でいくということでしょうか?
それとも、ADL維持等加算については、あまり議論したくないということでしょうか?
また、生活機能向上連携加算では、オンラインの活用が提案されていました。
私見ですが、訪問介護の連携加算と同様にリハ職がデイに行かなくても、オンラインで対応可としたら良いのではないか…と思いますが…。
機能分化の明確化
通所リハと通所介護との機能分化の明確化については、以前からのテーマとなっていますが、今回も通所リハの在り方についての本格的な議論はなされませんでした。
しかし医師系の委員の方から、リハビリテーションは継続して行う必要があるとの意見が出ました。
通所リハと通所介護の機能分化で課題となるのは「リハビリテーション」です。
今までの議論で「リハビリテーション」は社会復帰を目的とするものであり、漫然と継続するのはそもそもリハビリテーションの理念にそぐわないことから、リハビリテーションは【期間限定】【短期集中】で実施するもの、またリハビリテーションは【医療】であり、リハビリテーションは医師の関与が必要なものという考え方です。
しかし現状は、「6~7時間の利用が最も多い」「利用6ヶ月時の卒業率はわずか3%」「医師の関与が必要なリハビリテーションマネジメント加算Ⅱ以上の算定が低い」などからどのように機能分化するかが今後の議論になると考えられます。
機能分化の考え方としては、通所リハビリで「リハビリテーションを提供すること」と「通所サービスを提供すること」の区別もあるかもしれません。
「通所リハ」から「通所介護」へのスムーズな移行
今回の分科会では、通所リハから通所介護への移行をスムーズにするために計画書の共通化が必要ではないかと議題に上がりました。
前回の改定で、医療のリハビリ(生活期における維持期疾患別リハ)と介護保険でのリハビリ(通所リハ)での計画書の共用が進められましたが、次回改定では「通所リハ」と「通所介護」での計画書の共用という流れが推進されるかもしれません。
今後の動向も引き続き注視しなければなりません。
【PDF資料はこちらから】
■第180回社会保障審議会介護給付費分科会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12499.html
【もう少し深掘りした内容を読む】
■管理者&リーダーオンライン
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