“どこにでもあるデイサービス”から脱却し、ご利用者がイキイキと活動する社会とのつながりを支援するサービス
社会福祉法人 長野市社会福祉協議会 柳町介護サービスセンター
(長野県長野市)
“誰かの役に立ちたい”を実現する「はたらく活動」を提供
長野県長野市の住宅街、団地の1階部分にある「柳町介護サービスセンター」は、一日平均35名が利用するデイサービスです。
平成30年から「ご利用者が社会に参加し、貢献する活動」に力を入れており、地域の他業種の企業や学校、障がい者施設などと連携し、事業所内外で作業を行う「はたらく活動」を提供しています。
「ご利用者のほとんどが、仕事や家庭内で役割を持って生活してきた方で、誰かの役に立ちたいと思っておられます。
その思いを実現する活動として、まず事業所周辺のゴミ拾いや草取りから始めましたが、何回か行ううちに『もっと何でも言って』と言ってくださるご利用者が増え、保育園の草取りや下校の見守りなどの活動を増やしました」と管理者の竹村さん。
平成30年に厚生労働省から有償ボランティアに関する通知が出たこともきっかけになり、近隣の店舗や企業と連携して仕事(有償・無償ボランティア)を請け負い始め、現在は9つほどの企業などと連携しています。
活動は毎回その日の朝、ご利用者が選択
柳町介護サービスセンターのサービス提供時間は7‐8時間で、9時~15時まで時間ごとに体操やSETを使った運動、パン作りなどの数種類の基本メニューが設定されています。
メニューはそれぞれ開始時間や内容、効果を書いて掲示してあり、ご利用者は来所するとその日の自分の活動を選び、ホワイトボードを使用してスケジュールを立てます。
同時に、その日のはたらく活動を選びます。
はたらく活動には、企業などにご利用者が出向いて行うものと事業所内で行うものがあります。
事業所内で行う活動では「近隣にあるドン・キホーテから預かった買い物かごを拭く」「ラーメン店で使用するにんにくの皮むき」などの企業と連携したものや外部からのお客様のおもてなし、送迎車の清掃など事業所から依頼する仕事があります。
事業所外では、毎回13時〜15時まで、社会福祉法人くりのみ園で農作業などを行ったり、木曜日に近隣の大手コーヒーチェーン店でテラスの清掃を行うなどの仕事をしています。
「くりのみ園での活動には毎回4~5名が参加しています。
車で15分程度の場所にあるので、送迎車で移動し、職員1名が同行しています。
事業所内での活動はご利用者が自分のスケジュールに応じて自由に実施し、毎回、大量にあるかご拭きやニンニクの皮むきなどの仕事には場所を用意し、皆さんが自由に好きな時間に取り組めるようにしています」。
「はたらく活動」のポイントは“地域の理解”
はたらく活動は、「地域に理解してもらうことが必要」と竹村さん。「まず、近隣の店舗や企業にダメ元で電話をかけました。
協力してくれるところを探すのは大変でしたが、大手コーヒーチェーン店などで活動する際に、新聞社に声を掛けて取材をしてもらい、記事を読んだくりのみ園さんから連絡をもらったり、少しずつ活動が広がっています」。
仕事を請け負うだけではなく、生活相談員が地域の居酒屋に営業に行き、くりのみ園の卵の受注を受け、ご利用者と一緒に居酒屋まで運搬し、その運搬料をご利用者がいただく仕事をするなど、地域をつなぐ役割も生まれています。
謝礼について
現金の謝礼が発生するチラシ折りの活動は、納品時などにご利用者が直接謝礼を受け取ります。
そのほか、大手コーヒーチェーン店では、毎回の作業後に好きなコーヒーを店から1人一杯無料で提供、ドン・キホーテからはお菓子や日用品などの商品、くりのみ園からは農作物などで謝礼を受け取っており、活動に参加したご利用者で分けて持ち帰ってもらいます。
企業と連携したはたらく活動
・JR長野駅ビル内の大手コーヒーチェーン店のカフェテラスの清掃
・ドン・キホーテ長野駅前店の防犯パトロール・買い物かご拭き(買い物かご拭きは事業所に持ち帰って実施)
・ラーメン人力車で使用するにんにくの皮むきと駐車場の美化
・まかせて長野からの依頼で新聞折り込み用のチラシ折り
・くりのみ園での農業にかかわる作業全般(寒い時期はくりのみ園の室内で豆の仕分けを手伝う)
・まんてんファームの居酒屋の料理に使用する「おぶせの卵」の配達
企業以外と連携したはたらく活動
・城東小学校への雑巾の寄付
・長野市ボランティアセンターへの封筒寄付
・りんどう保育園の園庭などの草取り
それ以外のはたらく活動
・外部からのお客様のおもてなし
・下校の見守り隊(通学路や近所のゴミ拾いを兼ねて)
・団地内ゴミ拾い活動
【情報提供元】
■デイサービスの管理者&リーダー Vol.53(一部抜粋)
■社会福祉法人 長野市社会福祉協議会 柳町介護サービスセンター
【「社会参加活動」の始め方の実践ついて学ぶ】
■【オンライン】濵田桂太朗氏の2025年、2040年に向けてデイなどの通所系サービスに必要な地域共生の視点セミナー
https://tsuusho.com/online_cohabitation
■【オンライン】介護サービス事業から広がる「社会参加活動」の始め方の実践報告
https://tsuusho.com/online_social_participation_activities