人は年齢を重ねるとともに筋肉の量が減り、筋力も低下していきます。
特に高齢者では、下肢筋力の低下による立ち上がりや歩行困難が、さまざまな日常生活動作の低下にもつながっていきます。
普段の生活で取り入れやすい筋トレ、特に立ち上がりや歩行に重要な大殿筋、大腿四頭筋、下腿三頭筋などのトレーニングなどは自宅での継続的なトレーニングにおすすめです。
筋力トレーニングの目的を理解する
筋肉には「骨格筋」「心筋」「平滑筋」の3種類があり、この中で自分の意志で動かすことのできる「骨格筋」は、「速筋繊維(速筋)」と「遅筋繊維(遅筋)」の2種類の筋繊維で構成されています。
「遅筋」はゆっくりと収縮して長時間力を発揮し、「速筋」は素早く筋肉を収縮させて瞬時に力を発揮します。
加齢に伴って機能が低下しやすいと言われているのは速筋です。
[ポイント]
・「速筋」は短距離走のイメージ
・「遅筋」マラソンのイメージ
筋力トレーニングは速筋を鍛えるのに効果的
運動にはエアロビック(有酸素性)運動とアネロビック(無酸素性)運動があり、高齢者にはアネロビック運動がおすすめです。
ウォーキングなどはエアロビック運動で、「遅筋」を鍛えるのに効果的です。
反対にアネロビック運動は「速筋」を鍛えることに効果的と言われています。
日常生活の中で行う活動は、姿勢の保持や寝返り、起き上がり、立ち上がり、移乗、つかまりなど、アネロビックな活動がほとんどで、エアロビックな活動をすることはありません。
ご利用者の中には毎日30分歩いているなど、「遅筋」に効果的なエアロビック運動をしている方も多いと思いますが、その中に「速筋」に効果的な筋力、トレーニングなどを取り入れることが大切です。
また、筋力は上肢よりも下肢の方が低下しやすいと言われています。
大殿筋や大腿四頭筋などは、日常生活で重要な立ち上がりや歩行機能を維持するために重要な部位なので、特に意識してトレーニングをすすめましょう。
例えば
[1]寝た姿勢でする体操
→腹直筋を鍛える「肩甲骨浮かし」
→大殿筋を鍛える「グーッとお尻上げ」
→大殿筋を鍛える「うつ伏せで後ろに足上げ」
→中殿筋を鍛える「足上げ」
[2]座ってする体操
→大腿四頭筋を鍛える「足上げ」
→大腿四頭筋、大殿筋を鍛える「立ち上がり」
→内転筋を鍛える「膝合わせ」
→腸腰筋を鍛える「肘と膝をタッチ」
[3]立ってする体操
→下腿三頭筋を鍛える「かかと上げ」
→大腿四頭筋を鍛える「足を一歩前へ」
→大殿筋を鍛える「後ろに足上げ」
→中殿筋を鍛える「横に足上げ」
などがあります。
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