
厚生労働省は、これまで利用者負担ゼロだったケアマネジメントについて、住宅型有料老人ホーム(住宅型)・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を対象とした「一部有料化」の最終調整に入りました。
導入されれば、制度開始以来の大きな見直しとなります。
有料化が検討される背景
制度開始から25年、介護保険総費用は約4倍の14.3兆円に拡大しています。
利用の入口であるケアマネジメントを無償とした制度設計は浸透したが、持続可能性の観点から見直しが求められています。
また、住宅型・サ高住は制度上「在宅」扱いだが、実態は特定施設に近く、そこだけ負担ゼロなのは不公平との指摘があります。
審議会で示された3つの案
厚労省が提示した案は以下の3点です。
・所得に応じた負担
・住宅型・サ高住など特定の居住形態に限定した負担
・給付管理に必要な実費負担
もっとも実現可能性が高いのは「住宅型等を対象とした負担導入」です。
一方で「同じ在宅なのに負担差が出る」「制度が複雑化する」と反対意見も強くなっています。
全国有料老人ホーム協会の懸念
協会は慎重姿勢を示し、次の論点を挙げています。
・ケアマネ無償化は制度設計の大前提であり、軽度者の利用保障にも直結
・居住形態で負担が変わるのは公平性を欠く
・事務負担が増し制度が複雑化する
・外部ケアマネが住宅型を敬遠し、利用者の選択制が狭まる可能性
有料化のメリット・デメリット
メリット
→専門性評価の適正化、処遇改善の可能性、囲い込み是正の契機
デメリット
→利用控え、制度複雑化、外部ケアマネ忌避、不公平感の増大
特に低所得者の利用控えは大きな懸念とされています。
今後の論点
焦点となるのは、
・負担額の設定(定額・所得連動)
・対象範囲の限定・拡大
・低所得者への減免
・囲い込み対策の強化
・事務処理の簡素化
住宅型・サ高住事業者は、外部ケアマネとの関係調整や入居者への説明責任など新たな課題に直面することが予想されます。
まとめ
ケアプラン有料化は、公平性・財源確保・囲い込み対策・専門職評価といった複数の政策目的が絡む複雑なテーマです。
一方で、利用控えや選択制の阻害といった副作用も無視できません。
制度の公共性を損なわず、持続可能性と公平性をどう両立するかが今後の鍵となります。
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