
デイ運営には介護保険以外の法令・ルールの知識が必要です。
「これってどうなの?」という場面に対し、関連する法令・ルールを一部紹介します。
[設備の疑問]
ご利用者が作ってくれたカーテンを使用してもいいですか?
[回答]
カーテンには防炎物品の使用が義務付けられているため、使用できません。
カーテンは防炎物品の使用が義務付けられています
デイサービスには、下記の物品について政令で定める基準以上の防炎性能がある物を使用することが消防法で義務付けられています。
消防機関の立ち入り検査時に確認されることがあるため、防炎ラベルが付いた物品を使用するようにしましょう。
同様に床に敷くじゅうたん、カーペットなども防炎であることを確認して購入しましょう。
また、下記の物品以外にも、のれんなどはサイズによって防炎物品の使用が求められる場合がありますので、所轄の消防署に確認しておきましょう。
政令で定める基準以上の防炎性能が義務付けられている物
・カーテン
・布製ブラインド
・暗幕
・タイルカーペット・じゅうたん など
・展示用の合板
※のれん…50cm以上だと、防炎ラベルが必要な自治体もあるので注意
※定期点検で確認される場合があるため、防炎ラベルは見えやすい場所に明示しておく
[設備の疑問]
消火器を移動させて本棚を置いてもいいですか?
[回答]
消防署に届け出た設置場所と異なる場所に消火器を移動させると指導対象となります。
また、食堂および機能訓練室は、本棚などの可動性のない家具などの設置面積を差し引いた面積が設備基準を満たしている必要があります。
消火器は場所を示す表示物とセットで届け出どおりに設置
防災訓練などで点検が行われた際に、届け出た配置図と実際の設置場所が異なると、指導対象となるため注意が必要です。
また、消火器は、場所を示す表示物とセットで設置されていることが大切です。
立て札をはずしたり、壁に貼ったプレートが隠れないように注意しましょう。
本棚などの家具の設置場所にも注意
本棚などの大きめの家具を設置する際は、避難経路や消火器の取り出しを妨げないように気をつけましょう。
消防用設備は定期的な点検・報告が義務付けられています
消防用設備などを定期的に点検し、その結果を所轄の消防署長に届け出ることが義務付けられています。
点検は、6ヶ月ごとに行う「機器点検」と、1年ごとに行う「総合点検」に分けて行う必要があります。
機器点検(6ヶ月に1回以上)
・作動点検
→消防用設備等に附置される非常電源(自家発電設備に限る)、または動力消防ポンプの正常な作動を消防用設備等の種類等に応じた告示で定める基準に従い確認すること
・機能点検
→消防用設備等の機器の機能について、外観からまたは簡易な操作により判別できる事項を消防用設備等の種類等に応じた告示で定める基準に従い確認すること
・外観点検
→消防用設備等の機器の適正な配置、損傷等の有無、そのほか、主として外観から判別できる事項を消防用設備等の種類等に応じた告示で定める基準に従い確認すること
総合点検(1年に1回以上)
→消防用設備等の全部(もしくは一部)を作動させる、または当該消防用設備等を使用することにより、当該消防用設備等の総合的な機能を消防用設備等の種類に応じた告示で定める基準に従い確認すること
※点検結果報告書の各様式に関しては、所轄の消防署にお問い合わせください。
[食事の疑問]
事業所で利用者と一緒に作ったお菓子や惣菜を、ケアマネや地域の方へ差し上げてもいいですか?
[回答]
食中毒のリスクがあります。
また、継続的に不特定または多数の人に提供する場合は、都道府県の許可が必要であるため、差し上げないほうがよいでしょう。
食中毒が起きた場合の問題点
事業所で調理した食品を手土産にし、食中毒が起きた場合、次のような問題が想定されます。
第一次的には、被害者に対する謝罪、賠償問題です。
第二次的(波及的)問題としては下記を挙げることができます。
・保健所の検査が終わるまで営業停止
・調理施設の消毒が終わり、安全性が認められるまでの調理施設の利用中止
・風評被害
継続的に不特定の人や多数の人に提供している場合は都道府県の許可が必要です
日常的に料理を提供する場合は、介護事業所も「食品等事業者」となるため、衛生管理や保存方法など、食品の安全性を確保する必要があります。
その上で、お菓子や総菜を地域の人などに①継続的に②不特定または③多数の人に提供する場合、都道府県の許可が必要です。
①継続的に提供している
日常的に食品提供している場合、「継続的」な提供となります。
※「日常的」の解釈は自治体によって異なりますので、所轄の保健所に確認しましょう。
②不特定の人に提供している
提供する対象が特に決まっていない場合は、「不特定」の人への提供になります。
なお、不特定の人への提供は1人か多数かは問いません。
③多数の人に提供している
「多数」の基準について、食品衛生法の具体的な基準はありませんが、都道府県が条例で定める給食供給者の届出制度では、おおむね「1回20食以上、または1日50食以上」とされています。
[ケアの疑問]
食事の際に汚れたので、利用者のセーターを洗ったら縮んでしまいました。
家族から賠償を求められましたが、支払わなければいけませんか?
[回答]
好意でも、不注意によって損害を与えた場合は「過失」となり、賠償する必要があります。
不注意によって損害を与えた場合に備え、賠償保険に加入しておきましょう
少し注意すれば避けられたはずなのに、注意を怠って損害を与えてしまったという場合に「過失がある」と言われます。
過失によって他人に損害を与えたときは、その損害を賠償する義務があります(民法709条)。
この場合、洗濯をするときは、そのタグの表示で洗い方・洗濯方法を確認する必要があります。
この事例では、その確認を怠ったと考えられるため、過失が認められることになり、損害賠償をしなくてはなりません。
こうした場合に備える賠償保険に加入しておくのがよいでしょう。
[ケアの疑問]
利用者の帰宅後、「母の入れ歯がない」と家族から電話がありました。
探しましたが見つかりません。
賠償しなくてはいけませんか?
[回答]
責任はデイの対応や本人の私物を管理する能力の有無、契約内容などにより異なります。
入れ歯をはずすことが想定できる条件下では、事業所に保管義務が生じることがあります
入れ歯は、取りはずしが可能なため、利用者が自ら入れ歯をはずすことは可能です。
本人が入れ歯をはずし、想定外の場所に保管した場合は、事業所が保管を承諾した事実がないので事業所に保管義務が生じることはないでしょう。
また、見守り義務という観点でも責任は問われないでしょう(利用者が認知症の場合は、ケースバイケースです)。
口腔ケアなど入れ歯をはずすことが想定できる状況下では、契約内容だけでなく利用者の管理能力の有無によって責任の所在は異なります。
利用者が私物を管理する能力がある場合
今まで問題が起きたことがなければ、事業所に管理責任が生じることは少ないでしょう。
ただし、契約書等で管理責任(見守り)を定めているような場合は別です。
利用者本人に管理能力がなく、利用中の私物の保管を事業所が行っていた場合
契約書等に記載されていなくても、事業所に保管義務が発生している可能性はあります。
来所時に入れ歯や持ち物を確認しましょう
本事例で問題となるのは、利用者がそもそも入れ歯をしてきたのかどうかが不明だということです。
どこでなくなったのかが不明の状態で、直ちに事業所の責任が生じることはありませんが、送迎時、事業所への到着時、食事介助や口腔ケアなどの場面で入れ歯の状況を把握するよう努めましょう。
契約の内容により責任の有無、内容が変わりますので、管理義務について契約の内容を確認しておきましょう。
[送迎の疑問]
送迎に自分の車を使ってもいいですか?
[回答]
送迎に自家用車を使用することは避けましょう。
職員の自家用車の自動車保険の範囲・内容も問題
使用者が職員の自家用車による送迎を普段から許容・承認していた場合は、職員の自家用車に対して使用者の「運行供用者責任」が発生し、送迎中だけでなく通勤中の事故でケガをさせた第三者にまで賠償する義務を負うこともあります。
(最判昭和52年12月22日判時878号60頁,最判平成元年6月6日交民集22巻3号551頁参照)
また、従業員の自家用車で送迎をする際に問題となるのが自動車保険です。
自動車保険は「使用目的」によって保険料が異なりますので、「日常・レジャー使用」や「通勤・通学使用」で申告した車が業務で事故を起こした場合、保険会社から申告内容が事実と相違するとして保険金の支払いを拒まれるおそれがあります。
保険金が支払われた場合でも、事故後の保険料が上がり、仮に事業所を退職しても割高な保険料を払い続けることになります。
業務に自家用車を使用することは基本的に避けましょう。
使用者責任とその責任割合について
送迎中の事故など、従業員が「事業の執行につき」、第三者に損害を加えた場合、使用者(雇用主)には「使用者責任」が発生し、使用者と従業員は、いずれも被害者に対しては全額の賠償義務を負います。
使用者が被害者に対して全額賠償した場合、従業員に求償するには信義則上の制限があります。
(最判昭和51年7月8日民集30巻7号689頁参照)
どの程度制限されるかはケースバイケースになります。
[送迎の疑問]
事業所で家族会をした後、利用者とご家族を一緒に送迎車で送っていいですか?
[回答]
ほかの利用者に影響がなく、無償であれば、ご家族が同乗しても問題ないでしょう。
ただし、同乗者賠償などがあるか確認を!!
自動車保険を確認しましょう
事業所の利用を目的とする送迎を行う場合、送迎に関するコスト(ガソリン代などの実費も含む)を利用者などから受け取らない場合は、道路運送法上の許可などは必要ありません(「道路運送法における登録又は許可を要しない運送の態様について(平成18年9月29日)」)。
利用者と一緒に無償で家族を自宅に送る場合も同様と考えられます。
ただし、自動車保険の条件によっては、利用者以外の同乗者について、保証されない場合もあるため、事業所で契約している保険の内容を確認しておきましょう。
また、ほかの利用者の送迎に影響が出ないように配慮しましょう。
【お役立ち情報】
月刊デイ
【お役立ち研修】
次世代介護マネジメントフォーラム
https://tsuusho.com/managementforum




















