厚生労働省が2023年7月に発表した最新の介護需要予測によると、2040年度の介護人材需要が従来の予測から8万人減少し、272万人となることが明らかになりました。
本動画では、介護人材確保に向けた現状の課題、処遇改善策などの詳細について解説します。
2040年度の介護人材需要予測について、従来の予測からの変化について
→従来の予測では2040年度に280万人必要とされていましたが、新しい予測では272万人と8万人減少しています。
また、2026年の需要予測も243万人から240万人に修正されました。
これは各自治体の第9期介護保険事業計画からみた結果です。
介護人材需要減少の要因について
→介護予防の取り組みの成果が一因として考えられていますが、具体的な要因については現時点で明確な解明はされていません。
また、2022年時点で215万人という基準値が設定されていますが、実際には既に2023年度の時点で1.6%の減少が確認されており、予測の正確性には課題があります。
介護人材確保に向けた国の対策について
→主に5つの施策が展開されています。
「処遇改善」「多様な人材の確保、離職防止・定着支援」「生産性向上」「介護職の魅力向上」「外国人材の活用」です。
処遇改善については、令和6年度に新しい介護職員処遇改善加算が導入されました。
多様な人材確保の観点から見える入門的研修制度について、その位置づけと目的について
→入門的研修は、介護現場での就労経験がない方、特にシニア層を対象とし、介護の基礎知識を学ぶ機会を提供する制度です。
現場でのボランティア経験者などが、実際の就労へステップアップする際の入り口として位置づけられています。
処遇改善加算の実効性について
→2024年度は2.5%、2025年度は2%の賃上げを想定していますが、他産業では4~6%の賃上げが予定されており、格差は依然として拡大傾向にあります。
現状の処遇改善策では、他産業との賃金格差を埋めることは困難な状況です。
[ポイント]
・2040年度の介護人材需要予測が272万人に下方修正(従来比-8万人)
・介護予防の取り組みによる需要減少の可能性
・処遇改善加算の統合と賃上げ目標
・他産業との賃金格差(約7.7万円)の拡大傾向
・入門的研修から実務者研修まで、段階的な人材育成制度の整備
・介護福祉士資格取得における特例措置の継続
発表資料によると介護人材需要の予測は下方修正されたものの、依然として大きな人材不足が予想されています。
現行の処遇改善策や人材確保対策は、他産業との待遇格差を考慮すると十分な効果を上げているとは言えず、より抜本的な対策が求められています。
特に賃金面での改善と多様な人材確保の仕組みづくりが今後の重要な課題となっています。
【お役立ち研修】