私たちは、通所系サービスを中心に介護・看護に携わる方のワンランク上のスキルアップをお手伝いいたします

snsやYouTubeでも情報配信中
facebook
twitter
insta
youtube
メール会員登録

【介護保険部会の最新動向】改正議論と実務への影響

2025.12.01

第130回社会保障審議会介護保険部会が2025年12月1日(月)に開催され、介護保険制度の持続可能性確保に向けた議論が進められました。
本部会では、主に「一定以上所得者の2割負担拡大」「ケアマネジメントの利用者負担導入」「中山間地域等におけるサービス提供体制」「介護人材確保と生産性向上」など、制度改正に直結する重大な論点が取り上げられました。
今回の議論は、2027年度制度改正の方向性を大きく左右する重要な局面であり、介護事業者として、今後の経営戦略やサービス提供体制を考える上で非常に重要な内容です。


持続可能性確保のための負担をどう考えるか

部会では冒頭、一定以上所得者の2割負担対象拡大について議論されました。
事務局からは所得上位30%までの範囲で、年収230万円~260万円を基準とした選択肢が提示されました。
加えて、急激な負担増を避けるための配慮措置として


(1)負担増を月額7,000円までに抑制

(2)預貯金一定額未満の場合申請により1割負担へ戻す


という案が示されました。
委員からは「高齢者の生活実態を踏まえた慎重な検討をすべき」「物価上昇と医療費負担の増加がある中、追加負担は生活に直結する」「負担増を行うにしても公平性の確保が重要」といった意見が相次ぎ、特に預貯金確認に関する事務負担の懸念が多くの自治体関係者および介護現場から示されました。


利用控えの可能性

現場からは「負担増が利用控えにつながり、必要なサービスが受けられなくなるのではないか」という懸念が強く表明されました。
介護サービスの利用量が減少すれば、事業者にとっては稼働率や収益に直結し、経営悪化を招きかねません。
その点に対し委員からは「配慮措置を前提に慎重に進めるべき」「負担能力がある層への適正負担は避けられない」という両論が展開されました。


ケアマネジメント利用者負担導入案

次に議論されたのは、ケアマネジメントへの利用者負担導入です。
特に有料老人ホーム入居者への負担導入が議論されましたが、「ケアマネジメントは利用者の権利を守るための制度であり利用者負担を求める性質のものではない」「利用者負担導入は利用控えを生み、重度化のリスクを高める」「囲い込み問題の解決と自己負担導入を結びつけるのは論理が飛躍している」と現場からは強い反対意見が出されました。
一方で経済団体委員からは「権利を守るための仕組みであっても、コストの透明化と適正化は必要」「入居施設でケアマネジメントが形骸化しているケースもあり、改善が必要」との意見も示されました。


人材確保議論と生産性向上の流れ

保険部会後半では、中山間地域のサービス確保や人員配置基準緩和、生産性向上の推進が議論されました。
人員配置基準緩和については、「サービス品質の低下を招く」という強い懸念の声と、「柔軟な制度設計が地域運営の継続に不可欠」という賛成意見の両方が示されました。
また、介護職員処遇改善については、多くの委員が必要性を指摘し、「生産性向上と処遇改善は両輪で進めるべき」という方向性が共有されました。


今考えるべきこと

今回の議論から浮かび上がる示唆は以下の通りです。


・利用者負担増は利用量の変動を招く可能性が高く、経営計画の再設計が必要

・ケアマネジメントの位置付け見直しは事業モデル変革につながる可能性がある

・人材確保と生産性向上は制度改正後の柱となる

・地域密着型サービスは中山間地域の議論との影響を受ける


制度改正の議論は佳境に入り、次回は取りまとめに向けた協議が行われる予定です。
介護事業者として、情報収集を続けながら、経営戦略のアップデート、現場スタッフとの情報共有、地域連携の強化を進めることが求められます。


【情報提供元】

第130回社会保障審議会介護保険部会

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66495.html

学べる研修一覧

指導監査
計画書
マンネリ防止
送迎セミナー
リハ技術
介護制度・報酬改定対応セミナー
認知症ケア研修会
【オンライン】環境づくり
【オンライン】リハビリ90講座
セミナー動画配信
ページトップ ▲