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【介護保険制度見直し議論の現在地】持続可能性と公平性をめぐる論点整理…第132回社会保障審議会介護保険部会

2025.12.22

2025年12月22日に開催された「第132回社会保障審議会介護保険部会」では、これまでの検討を踏まえた意見書案が示され「制度の持続可能性」「地域差への対応」「給付と負担の在り方」など今後の制度設計に直結する論点について幅広い意見が交わされました。
全体としては、制度を将来にわたって維持していく必要性について共通認識がある一方で、「誰に、どこまで、どのような負担や役割を求めるのか」をめぐって、立場の違いが浮き彫りとなりました。


制度見直しの基本方向と意見書案の位置づけ

意見書案では、介護人材の確保やサービスの質の向上を制度の中核課題として位置付けています。
単にサービス量を確保するだけでなく、「必要な質の高いサービス」を全国どこでも提供するという介護保険制度の原則が改めて確認されました。
また、最新の介護職員数データを反映するなど、現状を踏まえた修正も行われており、今後の制度改正議論のたたき台として一定の整理が進んだ形となりました。


人口減少地域への対応は最大の論点の一つ

人口減少や高齢化が急速に進む地域への対応は、今回の議論でも大きなテーマとなりました。
人材確保や事業継続が難しくなる中で、サービス提供体制の柔軟化を求める声がある一方、基準緩和が常態化し、結果としてサービスの質が低下するのではないかという懸念も示されています。
地域の実情に応じた対応は不可欠だが、それが「例外」ではなく「前例」となった場合、介護保険制度の全国共通性をどう守るのか。
この点は今後も議論が続く重要な論点です。


地域包括ケアと「地域づくり」の実効性

意見書案では、2040年に向けた地域包括ケアシステムの深化、として「地域づくり」が明確に位置付けられました。
生活支援体制の整備や、地域の支え合いを制度として後押しする方向性は、2040年を見据えた介護の姿を示すものではないでしょうか。
一方で、「地域づくり」という言葉が理念にとどまらず、実効性ある仕組みとして機能するのかについては課題も多いです。
担い手や財源が限られる地域において、誰が中心となり、どのように地域を支えていくのか。
現場任せにならない制度設計が求められています。


ケアマネジメントをめぐる新たな緊張

ケアマネジメントのあり方についても、複数の論点が示されました。
特に、住宅型有料老人ホームなどを念頭に置いた新たな相談支援の枠組みについては、囲い込み防止の観点から評価する声がある一方で、ケアマネジャーの負担増や中立性への影響を懸念する意見も出されています。
ケアマネジャー不足が深刻化する中で、新たな役割をどう位置付けるのか。
居宅介護支援の本来機能を損なわずに制度を再設計できるのかが問われています。


給付と負担の見直しは今後の焦点

給付と負担の見直しについては、今回の部会では方向性の整理にとどまり、具体的な結論は先送りされました。
制度の持続可能性を理由に負担拡大は避けられないとする意見がある一方で、高齢者の生活実態への影響を重視し、慎重な対応を求める声も根強い。
「現役世代の負担」「高齢者の生活」「制度全体の持続性」という三つの要素をどうバランスさせるのか。
この問題は、今後の議論の最大の焦点となるでしょう。


丁寧な説明と理解形成が不可欠

意見書案では、制度見直しを進めるにあたり、国が国民や関係者に対して丁寧な説明を行う必要性が強調されました。
制度改正の趣旨や影響を分かりやすく伝え、現場や利用者の理解を得ながら進めることが不可欠です。
介護保険制度は、多くの人の生活を支える社会インフラです。
今回の議論は、その維持と改革の難しさを改めて浮き彫りにしたと言えます。


【情報提供元】

第132回社会保障審議会介護保険部会

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67690.html

【お役立ち研修】

次世代介護マネジメントフォーラム

https://tsuusho.com/managementforum

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