事例の状況
A事業所に、新しい施設長としてBさんが就任しました。
Bさんは介護現場での経験は少ないものの、管理者としての経験が豊富であり、その経験を買われ施設長に抜擢されました。
しかし最近、B施設長に対する入職15年のベテラン職員Cさんの反抗的な態度が目立つようになり、指示されたことを拒否したり、言い訳をするばかりで業務に支障が出ています。
周囲の職員も気を遣うなど現場の雰囲気も悪くなっています。
【対応策】
エスカレートする前に早めの対応を!注意・指導は口頭だけではなく、始末書など記録が残るもので行う
このような職員の中には、自分の主張が通らなかったり自分の思い通りにならないと暴言を吐いて怒声を上げたり、上司から再三の注意を受けても指示に従わず、周囲のスタッフを威嚇するような態度を取るような者もいます。
早い対応をしなければ、言動がエスカレートすることも少なくありません。
このような職員に対しては、問題行動があるたびに、その言動を注意することが大切です。
就業規則の中にも「誠実労働義務」というものがあります。職員が上司の命令・指示に従うことは当たり前のことであり、それに反する行動は、就業規則上の懲戒事由に該当することもあります。
しっかりと注意し、指導することが重要です。
その場合、口頭だけではなく、始末書など記録が残る書面で改善を促すことも有効です。
【予防策】
上司の命令に従えない理由をしっかり聞き、組織の仕組みなどの教育を行う
このような職員も入職当初から反抗的な態度ではなかったはずです。
今回の施設長変更に何らかの不満を持っていたことは想像に難くありません。
自分に自信のある職員に比較的多い事例です。
「順番から行けば、私のほうが施設長になるべき」「自分より年齢が下の上司には従えないというプライドがある」など、なぜ上司の命令に従えないのか理由をしっかりと聞く機会を設け、話し合うことが重要です。
その際には、上司である施設長も、部下との接し方、指示・命令の仕方など振り返る必要があります。
最近は、キャリアパス制度の導入に関連し、人事考課による処遇・昇格を進めている事業所も増えています。
その結果によっては入職して比較的短期間で管理職や施設長に抜擢されるようなケースもあります。
組織の仕組み、指示・命令系統がどのようになっているのかなどの教育も重要だと思います。
【情報提供元】
■月刊デイ2020年9月号(一部抜粋)
執筆:志賀 弘幸氏(社会保険労務士法人THINK ACT 代表社員/社会保険労務士)
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