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現場での歩行リハビリの進め方の工夫

2020.07.28

体性感覚に着目した評価のポイント

歩行の評価と介入を行う姿勢としては、ダイナミックな歩行場面では難易度が高く、体性感覚の評価を正確に進めることが難しいことが多くあります。

そのため、まずは難易度の低い上肢支持での立位姿勢において、立脚期と遊脚期を分けて進めることが有効となります。


歩行の運動学習を進める上では、

・歩行時における筋骨格系の評価の指標となる筋緊張

・体性感覚の評価となる注意の方向性

を表裏一体としてとらえることが重要です。


歩行リハビリを進める上でのポイント

歩行リハビリを進める上では、対象者の目に見える筋骨格系の状態のみに着目するのではなく、本人が正しい体性感覚に注意を向けられているかどうか、セラピストが自分自身の評価と介入方法を振り返りながら進めていくことが大切です。


歩行場面における体性感覚の中では、足底の荷重感覚が特に重要となります。

足底の荷重感覚の評価と介入例について1例を紹介いたします。


【例1】外側へ骨盤が動揺する方の評価と介入のポイント

■評価

外側への骨盤の動揺を認める場合、足底の荷重感覚における内外側の関係性に注意が向いていないことが原因となっている傾向があります。

筋緊張異常としては、中殿筋の筋緊張低下や下腿三頭筋の筋緊張亢進などが認められていたと仮定します。

この時、足底の荷重感覚としては、足底内側に注意が向きにくく、足底外側優位となっている傾向があります(下図)


評価としては、

「足の裏はどこに体重がかかっていますか?」

「足の裏の体重がかかる感覚は親指側より小指側が重くてしっかり支えている感じがしませんか?」

といった内的過程に関する質問をします。

その結果、本人から「親指側ではあまり支えてなくて軽い感じがします」という回答が得られたとします。


■評価をもとに予測できる仮説

上記の評価の場合、足底内側の荷重感覚に注意を向けることができず、足底外側だけで荷重感覚を感じていることが原因となり、中殿筋の筋緊張低下や下腿三頭筋の筋緊張亢進が出現している。

その結果として、外側へ骨盤が動揺してしまっている」という仮説が立てられます。


■介入のポイント

仮説を検証するために、立位で立脚期を再現しながら本人が足底内側の荷重感覚に注意を向けるように介入をします。

「親指側が重くてしっかり支えている感じがするように注意してください」、「足の裏の親指と小指側全体が重くてしっかり支えている感じがするように注意してください」といった声かけをしてみます。

変化が見られない場合は、一度、健側で実施しした後に患側で実施することで、注意が向きやすくなることがあります。

本人が足底内側の荷重感覚に注意を向けることによって、中殿筋の筋緊張低下や下腿三頭筋の筋緊張亢進が改善し、その結果として外側への骨盤の動揺が改善すれば仮説が立証されたことになります。

この時に改善が得られた声かけの内容が、効率的な運動学習を進めるための“本人に注意してもらう具体的な内容”となります。


■注意点

上記の例とは反対に「足底内側の荷重感は感じているが、足底外側の荷重感に注意が向きにくく鈍いため、足底外側で荷重感を感じようとするあまりに骨盤が外側へ動揺してしまう」という方もいるので注意が必要です。

視診や触診だけで判断せず、本人への「何を意識しているのか」といった内的過程に関する評価が重要となります。


歩行能力の改善へ向けたチームアプローチ

評価と介入を通じて、本人自身がどのように注意すれば歩行能力の向上が得られるかを理解してもらうことが重要となります。

はじめはその内容を本人に注意してもらいながら歩行訓練を進めることで運動学習をすすめます。

その後、徐々に無意識でも可能となることを目指していきます。

しかし、高次脳機能障害や認知症を有している方は、自分自身がどのように注意をすれば歩行能力の向上が得られるかという内容を覚えることができません。

そのような場合は、その内容を他職種間やご家族の方と共有し、共通した声かけ内容で歩行にかかわることによって、チームで歩行能力の改善へ向けたアプローチが可能となります。


【具体的に学びたい方はこちらから】

■【オンライン】生野達也氏のADL改善につながる動きのコツ習得セミナー

https://tsuusho.com/online_adl


【情報提供元】

■リハージュvol.2(一部抜粋)

https://dayshop.biz/products/list?category_id=114

■生野 達也氏(一般社団法人動きのコツ協会 代表理事/理学療法士)

https://ugoki-no-kotsu.com/

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