
車イスで座位が崩れる原因は、ご利用者自身ではなく「車イス」にあります。
ご利用者は、座りにくい車イスに座っているために座位を崩す「反応」を示しているに過ぎず、心身機能が直接的な原因ではありません。
アプローチの対象をご利用者から車イスに変えると、数ヶ月間リハビリを続けても座れなかった方が、わずか数日で座れるようになるケースも確認されています。
ここでは、座位崩れの根本原因となる「座面のたわみ」と「背もたれの張り」に注目し、それぞれの原因と座位崩れとの関係を解説します。
座面のたわみと座位の崩れ
座面のたわみは、骨盤や姿勢の安定性に大きく影響します。
【1】傾き
・イスの場合:座面が平らで骨盤が安定
・車イスの場合:座面がたわみ、骨盤が傾く
骨盤は座位の土台です。土台が傾くと上半身も傾き、座位が崩れやすくなります。
【2】ずっこけ
・イスの場合:坐骨で座ることができ、安定
・車イスの場合:仙骨で座る形になりやすく、座位が前後にずれる
座面の不安定さにより、骨盤の接地面積が広くなり、後傾姿勢になりやすくなります。
【3】突っ張り
・イスの場合:硬くて骨盤が沈まず姿勢が安定
・車イスの場合:柔らかくたわむ座面で骨盤が沈み、姿勢が不安定
ご利用者は安定を確保するためにアームサポートを握ったり背もたれに体を押し付けたりすることがあり、筋緊張が高まり座位の突っ張りにつながります。
背もたれの張りと座位の崩れ
背もたれの張りも、座位の崩れに深く関わります。
【1】傾き
背もたれに寄り掛かることで、顔を正面に向け安定した座位を保てます。
車イスの場合:背もたれが張っているため後ろに寄り掛かれず、横や前に傾きやすくなります。
臀部を前方に滑らせると背もたれに寄り掛かれる空間はできますが、腰痛や不安定さのリスクがあります。
【2】ずっこけ
丸みのあるイスは背中を広く支え、圧迫を減らします。
車イスの場合:背もたれが平面で支える面が狭く、圧迫が生じやすくなります。
身体機能が低下した方は自力で圧迫を逃すことが難しく、座位のずっこけが起こります。
【3】突っ張り
丸みのある背もたれは、背中と一致してリラックス可能
車イスの場合:背もたれが平面で支える面が狭く、筋緊張が高まり座位の突っ張りにつながります
まとめ
座位の崩れは、車イスの構造による「反応」であることを理解することが第一歩です。
座面や背もたれの調整によって、座位の安定性を大幅に改善することが可能です。
【情報提供元】
リハージュ
【お役立ち研修】














