厚生労働省が議論している「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関する検討会」では、2040年に向けて人口構造が大きく変化するなかで、介護・障害福祉・保育などを持続可能な形で提供する体制の再構築を進めています。
この検討会では分野ごとの制度の見直しだけでなく、共通課題に対する横断的な対応策が主要テーマとなっており、今年の夏ごろを目途に最終とりまとめが予定されています。
2025年5月9日に第6回の検討会が開催されました。
今回は、その中でも特に「分野横断的な制度改革」に焦点をあて、第6回検討会の議論をベースにわかりやすく、ここまでの内容をまとめました。
なぜ今、“分野横断的”な見直しが必要なのか?
これまで、介護・障害福祉・保育は、それぞれ別の制度に基づき、個別に運営されてきました。
しかし、人口減少が加速する地域では「それぞれのサービスに人材や設備をそろえる」ことが現実的に難しくなっています。
そのため、検討会では次のような柔軟な体制づくりが議論されています。
・複数サービス間で人材を兼務できる仕組み
・設備や施設の共用を可能にする制度改革
・地域の実情に応じた弾力的な配置基準
たとえば、介護施設と障害福祉施設が同じ建物内にある場合、それぞれに別の職員を配置するのではなく、同じスタッフが両方のサービスを担うといった形が理想とされています。
共通する各分野深刻な課題「人材不足」
介護・障害福祉・保育のすべての分野で、人材の確保が極めて難しくなっているという点は共通しています。
そのため、検討会では以下のような横断的な対応策が提案されています。
・分野をまたいだ研修制度の整備
・資格の相互活用や統合に向けた検討
・子育てや介護をしながら働きやすい柔軟な勤務形態の導入
さらに、厚生労働省は今後、全国の地域を3つの類型(中山間・過疎地域、都市部、一般的な地方都市)に分け、それぞれに適した制度緩和や支援策を検討する方針です。
制度や評価の「壁」を越える動きも
現状では、報酬制度や補助金も分野ごとに異なっていますが、これを機能ベースで評価する仕組みに再構築する動きも出ています。
・「送迎」「見守り」「生活支援」といった共通機能を、サービスの種類にかかわらず公平に評価
・複数分野を担う事業者には、包括的な支援策を用意
このような改革によって、地域のニーズに合った多機能・多分野連携型のサービス提供が可能になると期待されています。
私たちが準備できることは
2040年という将来の話に思えるかもしれませんが、変化はすでに始まっています。
全国各地どの地域でも、「制度の壁により非効率な事業運営になっている」「人材が集まらずに多機能化を検討している」といった声はないでしょうか?
厚生労働省は今後、検討会の議論をもとに制度の見直し案や実証事業の展開を進めていく予定です。
検討会の動向を把握し、自分たちの地域ニーズを汲み取りながら制度ビジネスである以上、運営の舵取りを行っていく必要があります。
【情報提供元】
2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関する検討会(第6回)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57678.html
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