大学卒業後、認知症デイサービスに入職してきたNさん。
体格が良く介護技術面に問題はありません。
指示に対して「はい!分かりました!」と元気よく返事をするのですが、実際に業務を任せてみると指示とは違うことをしてしまい、先輩や管理者がやり直すということを繰り返しています。
管理者は「分からないまま進めてしまう方が危ないから、分からないことはその場で聞いてね」と何度も言っているのですが、そのたびにNさんは「はい!分かりました!」と元気よく答えるのでした。
「分かりました!」と言ったのに、実際には分かっておらず失敗してしまう。
新人スタッフに業務を教えたり、指示を出していく中でこんな場面に遭遇したことはありませんか?
これが続くと、「失敗のやり直しでさらに時間がかかる→新人に任せるより自分でする方が早くて確実→新人に簡単な業務しか任せない→新人はいつまで経っても仕事を覚えられない」という悪循環が生まれ、結果、リーダーが常にてんてこ舞いになってしまいます。
なぜ、新人スタッフは分かっていないのに「分かりました」と言ってしまうのでしょうか?
【1】本当に「分かった」と思っている
不足している部分・できていない部分を一緒に訂正し、「分かった」の差異を明らかにする
あなたの「分かった」と新人スタッフの「分かった」に差異が生じている状態です。
新人スタッフが行った業務で、不足している部分やできていないところを一緒に訂正し、「分かった」の差異がどこにあるかを明らかにしましょう。
【2】分かっていないが聞き返せない
互いの共通点を見つけて共有し、質問しやすい関係づくりを
「忙しそうだから、今質問すると迷惑だろう」という誤った配慮やあなたへの苦手意識から、後でほかの誰かに聞こうとして結局聞くことができず、失敗してしまう場合があります。
どちらの場合も、新人スタッフとの信頼関係の再構築が必要です。まずはお互いの共通点を見つけて共有し、新人スタッフに「自分のことをよく分かってくれている」と実感してもらいます。
そうして心が開いた状態を作り出すことで、新人スタッフは質問しやすくなります。
【3】「言っている意味、分かる?」という尋ね方の問題
質問しやすい言葉選びに注意
指示を出した後、「言っている意味、分かる?」と聞いたことはありませんか?
この聞き方は、「どうせ理解できていないだろう」という前提で聞いているようにも受け取られ、疑問があっても質問しにくくなってしまいます。
聞き方に少し注意するだけで、相手を傷つけることなく素直に質問を引き出すことができ、「また『分かった』と言ったのに分かっていない!」と余計なストレスを抱えずに済むのです。
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