
厚生労働省は2025年10月31日「第7回 有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」で、最終報告案(取りまとめ案)を示しました。 今回の報告は、継続されていた議論の集大成であり2026年度以降の制度改正に反映される見通しです。
焦点は、「中重度者を受け入れるホームの登録制導入」と「囲い込み対策の強化」。
今後の実務に直結する内容です。
登録制の導入で「質」と「安全」の確保へ
厚労省は、中重度の要介護者や医療的ケアが必要な方を受け入れる有料老人ホームを対象に、新たな登録制(事前規制)を導入する方針を明確にしました。
登録制が導入されると
・人員配置や運営体制などの一定基準を満たすことが必須
・不適切な運営には更新拒否や開設制限が可能
・「登録時」「更新時」に行政によるチェック体制が導入
といった仕組みが整います。
ただし、「現場や自治体の手続きが煩雑になるのでは」との懸念もあり、厚労省は電子申請や経過措置による負担軽減策を検討中です。
「質を高めながら、過剰な手間を減らす」
これが今回の改革のキーワードです。
「囲い込み」対策をより厳格に― 利用者の“自由な選択”を守る仕組みへ ―
住宅型ホームで指摘されてきた「囲い込み」。
つまり、同一法人の介護サービスしか使わせないよう誘導する問題にも、厚労省は本格的にメスを入れます。
新たなルールでは、
・関連事業所のサービス利用を入居条件にしてはいけない
・家賃割引などで誘導することも禁止
・かかりつけ医やケアマネの変更を強要してはいけない
といった禁止事項が明確化されました。
さらに、契約書や重要事項説明書で自法人サービスを紹介する際は、「中立的に説明する義務」が課されます。
ホームと介護サービス事業所が提携する場合には、その提携内容を行政に事前報告・公表する方針も示されました。
これにより、入居者が自分に合った介護サービスを自由に選べる環境を守る狙いがあります。
ケアマネジャーの独立性を強化
囲い込み防止の流れの中で、ケアマネジャーの独立性も重要なテーマになっています。
厚労省は、事業者からの影響を受けにくい体制を整えるために、
・ケアマネ業務の中立性を保つための公式指針を策定
・施設長・管理者への研修実施
・利用者が気軽に相談できる相談窓口の設置
などを検討しています。
これにより、ケアプランの公平性やサービス選択の透明性を確保し、利用者にとって安心できる介護体制を実現していく方針です。
現場への影響は?
今回の見直しは、単なる「ルール変更」ではなく、介護事業のあり方そのものに関わる改革です。
今後、制度が動き出すと現場では以下のような変化が見込まれます。
・「登録」「更新」の電子化への対応
・ケアマネ業務の中立性と説明責任の明確化
・契約・情報公表の書式見直し
・ 職員研修・運営方針の再整備
厚労省は「ルール強化=負担増」にならないよう配慮を示しており、電子申請などのデジタル対応が鍵となりそうです。
今回の制度改正は、「利用者の自由と安心」「事業者の信頼と透明性」の両立を目指すものです。
介護現場としては、制度に振り回される”のではなく、“制度を理解して味方につける”姿勢が求められます。
【情報提供元】
第7回有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65547.html
だよりね
【お役立ち研修】




















