アセスメントとは、聞き取りや各種評価・測定などによる情報収集をし、各評価やそれぞれの関係について把握、分析し、本人の全体像、本人のニーズを把握することです。
【1】聞き取り・情報収集
本人・家族の希望(ウォンツ)は、重要な情報なので、必ず聞き取り調査します。
本人・家族の希望を聞くことで、本人や家族が、症状、障害、現在の生活をどのようにとらえているか、何を大切にしているか、将来の生活をどう考えているのかなどを推測することも可能です。
細かい言い回しが、心理状態を示していることも多いので、情報はできるだけ本人・家族の言葉そのままの表現で記録してください。
例:息子のAさんから「転倒すると入院とか面倒なので、歩く訓練はしないでください」と言われた。
→「心理状態として本人の生活改善にはあまり関心がない?」「本人の機能改善よりも入院の費用が気になる?」などが読み取れる
【2】評価
評価は、本人の現状だけでなく、変化を把握する目的があります。
したがって、変化を把握しやすい評価方法が望ましいでしょう。
【3】ニーズの把握
ニーズとは、「介護の視点から見て真にその人に必要なこと」をいいます。
各種評価などの情報を収集・分析し、ニーズを探るのがアセスメントの最重要事項です。
情報の一つとして、「本人の希望・要望」や「家族の希望・要望」は、必ず収集しなければいけません。
「本人の希望」と「ニーズ」は必ずしもイコールになるとは限りません。
評価のポイント
[1]変化が把握しやすい方法・内容にする
変化・効果を把握することも評価の目的なので、変化が細かく把握できるものが望ましい。
例:要介護度よりも、BI・FIMの方が変化を把握しやすい。
BI・FIMよりも目的となるADLの工程を細分化し、それぞれの介助量を記載する評価の方が変化を把握しやすい。
[2]自分たちで作ってよい
BI、FIM、MMSE、BBSなど、必ずしも標準化された評価方法でなくても良い。
利用者が理解しやすいものが望ましい。
[3]個々の状態に合わせる
症状、残存機能、生活環境、生活歴、今後の人生など、すべてのことが一人ひとり異なり、目標も異なるため、必要な情報、評価内容は各人の状態に合わせるのが普通。
[4]目標・目的に関する評価は必須
ケアプランで必要なのは「目標と目標を達成するためにすること」。
したがって目標に直結する事項については必ず評価しておかなければならない。
[5]無駄な評価はしない(すべての評価は、リスク・手間が伴う)
すべての評価には、何らかのリスクが発生する。
また、手間がかかるため、相手の貴重な人生の時間を消費しないためにも無駄な評価は避ける。
[6]できるだけ同じ環境下で実施する
変化・効果を把握するのが評価の目的の一つであるため、評価結果の比較を可能にするために、評価環境は同一が望ましい。
[7]正しく評価できる能力をもつ
評価が正しくないと、それ以降の流れを誤った方向に導いてしまう。
[8]効果が出るものを評価する
可能であれば、効果が出るものを評価し、利用者に効果を伝えることが望ましい。
[9]評価結果の伝え方には注意が必要(価値観の植え付けにつながる)
評価そのもの、また、結果の伝達表現は、価値観の植え付けにつながるので注意が必要。
例:「おむつが取れて素晴らしい、すごい人だ」
→「おむつが必要になるのはダメなこと、ダメな人間だ」という価値観も同時に伝えてしまう危険性がある
[10]多面的に評価する(身体機能ばかり評価しない)
身体機能には、必ずピークがあり、それ以後は低下する一方であるが、精神面・心理面などは亡くなる直前まで改善し得るものである。
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