厚生労働省の統計によると、2025年には約245万人の介護職員が必要です。
2020年度に216万人の介護従事者が必要と仮定した場合でも、令和2年度~7年度は毎年6万人ずつ増えなければなりません。
しかし、最近3年(平成26→27年度、27→28年度、28→29年度)の増加数は、7.4万人、6.0万人、5.2万人と毎年15〜20%ずつ減少しています。
この傾向が継続した場合、平成29→30年度、30→31年度、31→令和2年度の職員増加数は、4.4万人、3.7万人、3.1万人で、2020年時点の職員数は206万人となり、推定値より10万人少なくなり、年間8万人の増加が必要になります。
年間3万人ずつ増加したとしても、毎年5万人不足するので、2025年には25万人もの不足となります。
職員の高齢化
介護労働安定センターの平成30年度介護労働実態調査結果によると、介護職員の平均年齢は、全体で 47.7歳で、訪問介護員の平均年齢は 54.3歳でした。
訪問介護員は、70歳以上が10.5%、65歳以上が1/4を占めます。
介護保険制度が中・重度者中心になっていくと、身体介護の割合が増加するため、高齢のヘルパーでは、対応が困難となってくる恐れがあります。
近い将来、1/4を占めるヘルパーが退職したとき訪問介護は存続可能なのでしょうか。
65歳の職員は、5年後に70歳になり、1/4の職員は70歳以上になります。
年々、60歳以上の職員割合が増加しています。
将来、介護サービスの提供は可能でしょうか。
職員不足と倒産件数の増加
東京商工リサーチによると、2019年上半期の倒産数は、前年度比22.2%増の55件で、過去最高となっています。
中でも訪問介護事業所は、18件→32件と急増しています。
平成30年12月の全国ホームヘルパー協議会のアンケート結果では、9割の事業所がヘルパーを募集しても応募がないと回答していて、人材不足が深刻化していることが分かります。
介護事業所全体での、職員不足感も年々増大しています。
離職率
介護業界の離職率は、全産業に比べ1%程度高い数値になっています。
しかしその内訳は特徴的で、離職率10%未満の事業所が約半数ある一方、30%以上の高離職率の事業所も1/5あり、特に小規模法人は、10%未満の割合も高いが30%以上の割合も高く、二極化が鮮明になっています。
求人数
ハローワークにおける求人数のトップは介護職で、令和元年6月で99,811人となっており、過去一年間ずっと約10万人の求人数が継続しています。
介護ニーズについて
要介護高齢者は、2040年までは増加しますが、それ以後はあまり変化しません。
従って、要介護者が増加する2040年まではサービスの需要は高まるため、事業展開が可能です。
(地域差があるため、展開予定地域の状況把握が必要です)
増加は今後20年間…ハード面への投資をどうするか
2040年までの20年間は需要が増加していますが、それ以降は需要の減少が始まります。
しかし建物は40〜50年は維持されるわけで、需要減少時のハード面の活用を考慮していく必要があります。
【情報提供元】
■中小介護事業所の人材確保と働き方改革(一部抜粋)
【介護人材について学ぶ】