体性感覚は視覚的に確認できないため、評価・介入の際「本人が体性感覚に正しく注意を向けることができているか」が判断しにくい問題が生じます。
そのような場合、病態解釈と介入方法の2つの視点から仮説検証作業を行うことが有効です。
病態解釈における仮説検証作業
病態解釈における仮説検証作業では、歩行や起立動作におけるアライメントや筋緊張異常の特徴から、「どのような体性感覚に注意が向いていないか」について仮説を立てます。
そして、セラピストから本人への「今は何を注意していますか」という質問をし、確認していきます。
介入における仮説検証作業
介入における仮説検証作業では、声かけや難易度設定といったセラピストの介入方法の工夫が重要です。
病態解釈における仮説検証作業で確認できた「歩行や起立動作障害の原因となっている、注意の向いていない体性感覚」に対して、セラピストがどのように介入すれば注意が向けられるようになり、その結果として、アライメントや筋緊張異常の改善が得られるかを検証していきます。
しかし、「セラピストが体性感覚を注意するように指導してもうまくいかない」という問題が生じた場合は、難易度設定に加え、セラピストの「声のかけ方を工夫する」ことが有効です。
声かけの工夫
普段、意識することのない体性感覚に注意を向けるためには擬音語を用いた声かけが有効です。
「足の裏で踏ん張ってください」
「足の裏をグッと体重をかけてください」
という声かけをしても改善しない場合、足底の触圧覚に注意が向けることができていないと判断できます。
「踏ん張って」や「グッと」という声かけは、過緊張になりやすく、足底の触圧覚に注意が向きにくいのです。
具体的には、麻痺側で「どのような体性感覚に注意が向いていないか」を特定後、非麻痺側でその体性感覚の注意の向け方を学習してもらいます。
その後、「それでは麻痺側でもじんわりする感じがあるか注意してください」と声かけを行うことで、体性感覚に注意が向きやすくなり、アライメントや筋緊張異常の改善が得られやすくなります。
【声かけの悪い例】
セラピスト:「良い方ではどのような感じですか」
本人:「普通です」「自然な感じです」
⇒体性感覚 に注意を向けることができていない
【声かけの良い例】
セラピスト:「私の場合はジワーッと感じるのですが、あなたの場合は、ジワーッととか、じんわり とか、ベタァーッととか、どのような感じがします か」(擬音語を用いた複数の例を挙げる)
本人:「私の場合はじんわりと感じます」
⇒この方 は「じんわり」という表現であれば、体性感覚に注意が向きやすい」と判断
体性感覚へ注意を向けるための擬音語の活用
【1】麻痺側における注意の向いていない体性感覚を特定
【2】非麻痺側において、【1】の体性感覚に対し、擬音語を用いて注意を集中させる
(例:「ジワーッと」「じんわり」 「ベタァー」など)
【3】麻痺側において、【2】で得られた擬音語 による体性感覚への注意を集中させる
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【情報提供元】
■リハージュvol.6(一部抜粋)
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