厚生労働省が2025年7月30日に公表した最新の統計(介護給付費等実態統計)によると、全国の通所介護(デイサービス)事業所数が3年連続で減少していることが明らかになりました。
全国のデイサービス事業所数、今年は362ヵ所減
2025年4月審査分のデータによると、全国の通所介護事業所は4万2,656ヵ所。
前年より362ヵ所減少しており、減少傾向はこれで3年連続となりました。とくに、地域密着型デイサービスの減少幅が顕著で、
・前年比:302ヵ所減
・現在:1万8,130ヵ所
・ピーク(2016年):2万3,763ヵ所
→ 9年間で23.7%減少
かつて増加傾向にあった通常規模型・大規模型のデイサービスも、今年は2万4,526ヵ所(前年より60ヵ所減)と、ついに減少に転じました。
減少の背景にある4つの要因
この事業所数の減少には、次のような複合的な背景があると予想できます。
[1]報酬改定と制度変更
2024年度の介護報酬改定では、科学的介護や多機能化が重視される一方、小規模事業者にとっては運営基準の厳格化や評価指標の導入など、負担増につながる要素もありました。
[2]慢性的な人手不足
介護人材の確保が難しく、特に小規模施設では人員基準を満たすこと自体が困難になっています。
[3]地域ニーズとのミスマッチ
地域によっては高齢者人口の減少や、訪問・居住系サービスへの移行など、通所ニーズが想定より伸びていないケースもあります。
[4]経営戦略の見直し
通所事業から撤退し、他サービスへシフトする法人も少なくありません。
複数サービスの統合や、収益性の高い業態への転換が進んでいます。
今後、選ばれる事業所とは?
今後の通所サービスは、“ただある”だけでは生き残れない時代に入っています。
・地域とのつながりを深める
・リハビリや認知症支援など専門性を高める
・柔軟なサービス設計(短時間・個別対応など)
・スタッフ定着の工夫(働き方改革、研修制度など)
こうした取り組みが、利用者にもスタッフにも選ばれる条件となっていくではないでしょうか。
また、地域包括ケアの中で通所サービスの役割が変わりつつある兆候でもあります。
人口減少、高齢化のピーク、制度改革、人材不足など多くの変化が同時に進む中、「今後の通所サービスのあり方」をどう描くかが問われています。
【情報提供元】
介護給付費等実態統計月報(令和7年4月審査分)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/2025/04.html
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