会長:妹尾弘幸の報告
2020年8月27日(木)に「第183回介護給付費分科会」が開催されました。
今回は、「老人福祉施設(特養)」「老人保健施設(老健)」「介護医療院」などの【入所系サービス】がテーマでした。
居宅系サービスに比べ発言・議論が少なかった印象を受けました。
介護報酬の体系や基準などの複雑や該当サービス関係者以外にはサービス実態がイメージしにくいなどが影響しているのかもしれません。
各サービスの主な論点は以下の通りでした。
※あらかじめ断っておきますが、文章内容はあくまでも私の個人的かつ勝手な感想・考えでありますのでそのつもりで読んでいただければ幸いです。
■老人福祉施設
(1)介護ロボット・ICTの活用策
(2)ユニット型施設の普及方策
(3)医療提供施設でない特養での看取り促進、医療連携強化
(4)感染症、災害等のリスクへの対応
■老人保健施設
(1)在宅復帰、在宅療養拠点機能の強化方策
(2)老健での医療、リハビリテーションについて
(3)感染症、災害等のリスクへの対応
■介護医療院
(1)円滑な移行促進策
(2)長期療養施設と生活施設機能の充実策
会長:妹尾弘幸の視点
介護医療院では、令和5年度末の【介護療養病床廃止】に向けて更に移行促進の視点から、今年度末までだった「移行加算の延長」「介護医療院の人員基準などの理解促進」などが実施されるのではないかと思われます。
老人保健施設は、平成27年(4,130ヵ所)から平成31年(4,285ヵ所)の5年間で155ヵ所(3.7%の増加)、平成30年(4,289ヵ所)からの1年では4ヵ所の減少に留まっており、老人保健施設の数は安定期に入ったと思われます。
老人福祉施設は平成27年(9,104ヵ所)から平成31年(10,401ヵ所)の5年間で1,297ヵ所(14.2%の増加)と、依然として増加傾向が続いています。
老人福祉施設は定員の70%をユニット型にすることが通知(平成30年3月13日厚労告57号)されていますが、平成29年時点で43.6%に留まっており、ユニット型の推進が急がれます。
会議では色々な意見が出ましたが、私が感じたのは「基本」です。
【ユニット型】は「何のために生まれたのか」それを推進するのは「何のためなのか」と言う基本を忘れて、目先の効率化や負担などで話を進めると制度そのものの後退や崩壊につながるのではないかと危惧しています。
ユニット型のケアは、認知症グループホームで実施されているので、入居者の平均要介護度が同じ集団で「ケアの内容」「運営状況」などを比較すればよいのではないでしょうか。
(平成30年5月の【老人福祉施設平均介護度】4.0、私が代表を務める【株式会社QOLサービスのグループホームの平均介護度】4.5でした)
そうすれば、介護福祉施設のユニット型の課題解決策も見えてくるかもしれません。
また、介護は「アセスメント(【評価】【情報収集】【分析】によるニーズ把握)」「計画(目標とそれを標達成のためにすること)」「実行(プランに基づいた計画の実施とモニタリング)」「評価」のPDCAのサイクルが基本です。
これは当たり前のこととして実施されなければいけないので、認知症やリスクなどでPDCAサイクルについて新たに評価してもらうのは難易度が高いと感じました。
老人保健施設の論点では、わざわざ「医療提供施設ではない」と但し書きが付けられていました。
地域包括ケアでは、住まいの種類にかかわらず必要な「医療」「介護」が受けられることを基本としています。
今回「看取り」も議論に上がりましたが、高齢者における「看取りの基本」について「内容」「医療の必要性の有無」なども議論すべきと思いました。
「人口減少」も現状では避けられない基本的事実となっています。(今回も過疎地対策の要望が多く出されました)
この「基本」を考えると、「住まい」「医療」「介護」を明確に分けることでより柔軟な対応が可能となるシステムに向かわざるを得ないのかとも感じました。
■第183回社会保障審議会介護給付費分科会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13082.html
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