デイは、単なる日中の預かりサービスではなく、利用者の生活機能の維持・向上を目指す場であると同時に、社会的孤立感の解消や、心身機能の維持・改善、そして家族の身体的・精神的負担の軽減など、多面的な役割を果たすことが求められている。
この基本的な考え方の根底には、介護保険法に掲げられている「尊厳の保持」と「自立した生活の支援」という理念がある。
ここで言う“自立”とは、必ずしもすべてを自力で行うことではなく、その人の持てる力を最大限に活かした生活の実現を意味する。たとえば、寝返りができない人にとっては、寝返りの補助を受けながらの生活がその人なりの“自立”となる。
そのため、デイサービスには、「生活機能の維持・向上」だけでなく、それによって生じる「心身機能の維持・改善」「社会的孤立感の解消」「家族の負担軽減」が必須とされており、これらは最低限満たすべき6つの柱として位置づけられている。
さらに過去の厚生労働省の発表資料では、これらに加えて次のような機能の充実がデイには求められている。
・認知症高齢者への対応
・中重度者への対応
・地域との連携(地域拠点機能)
これらの機能については、これまでも「認知症加算」や「中重度者ケア体制加算」などによって国がその実施を施策誘導してきた背景がある。
つまり、「加算対象となっている機能=国が重視している機能」であるという見方ができる。
なかでも注目されているのが、「地域拠点機能」の強化である。
運営基準の中でも、地域との連携が明記されるようになっており、今後、地域とつながる場の提供や交流機会の創出といった活動が、デイにも強く求められていく可能性が高い。
その背景には、小規模多機能型居宅介護などで行われた研究成果がある。
たとえば、地域との交流の場を設けて、利用者に役割を持ってもらう機会を提供した場合、要介護度が改善する傾向が明らかになった。
こうした結果を受けて、小規模多機能では、地域拠点機能が加算要件として位置づけられている。
このような科学的根拠に基づき、今後はデイサービスにおいても「地域とつながり、役割をもてる場づくり」が強く求められることが予想される。
加算要件化されるか否かにかかわらず、こうした取り組みは、利用者にとっても事業所にとってもメリットが大きい。
また、厚労省の最新の研究でも、「地域連携機能」「地域拠点機能」は今後の通所介護に不可欠な視点であると明示されている。
したがって、デイ行う機能訓練やリハビリテーションも、単なる身体機能の回復を目指すのではなく、こうした地域との関わりや役割発揮の機会を支えるための手段として再定義される必要がある。
総じて、これからのデイには、生活機能の向上だけでなく、地域社会とのつながりを通じて“役割ある生活”を支援する場としての機能が一層期待されている。
利用者の生活の質を高め、要介護度の改善に寄与する取り組みとして、事業所はその運営方針を再構築する必要があるだろう。
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