
介護現場では、歩行や立ち上がりといった「動き」に注目が集まりがちですが、実は1日の大半を占めるのは「座っている時間」です。
特に認知症のある方にとって、この「座り方=座位姿勢」は、心身の安定を大きく左右します。
シーティングとは何か
シーティングとは、単に椅子や車いすに座らせることではありません。
「その人が、できるだけ楽に、長く、安定して座っていられる姿勢を整えること」を指します。
特別な車いすや高度な専門技術が必要だと思われがちですが、実は日常ケアの中にもシーティングの視点は数多く存在します。
たとえば「食事の時は車いすではなく、食卓用の椅子に座り替える」という工夫も、立派なシーティングです。
認知症の方にとって、座位が重要な理由
認知症のある方は、「座りにくい」「腰が痛い」「この姿勢がつらい」といった不快感を、言葉で正確に伝えることが難しい場合があります。
椅子が体に合わず、骨盤が後ろに倒れ、背中が丸まった姿勢で座り続けているとどうなるでしょうか。
本人は理由が分からないまま不快感だけが蓄積し、結果として落ち着かなくなり、立ち上がろうとしたり、不穏行動につながったりします。
その様子を見て「認知症だから仕方がない」と片付けてしまうのか、「もしかして座り方が原因では?」と気づけるのか。
この差は、本人の生活の質に大きな違いを生みます。
崩れた座位が招く身体への影響
座面の上でお尻が前にずれ、背中が丸まった状態を想像してみてください。
この姿勢では、胸やお腹が圧迫され、呼吸は浅くなり、食事もしづらくなります。
腕も動かしにくく、食事や作業への意欲が低下します。
さらに、長時間続けば、痛みや関節のこわばり、皮膚トラブルの原因にもなります。
「ただ座っているだけ」のように見えて、実は全身に大きな負担がかかっているのです。
シーティングは特別な技術ではない
重要なのは、すべてを完璧に行うことではありません。
「今の座り方は楽そうか」
「時間が経つと姿勢が崩れていないか」
この視点を持つだけでも、ケアの質は確実に変わります。
シーティングは、専門家だけのものではなく、認知症ケアに関わるすべての職種が共有すべき“基本的な視点です。
座位を整えることは、認知症ケアの土台を整えることでもあるのです。
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