短時間通所リハの移行が上手くできても、利用者を継続的に獲得できなければ、事業の存続が困難となります。
短時間通所リハ事業存続のための運営のポイントは下記の4点になります。
(1)理念とビジョンを明確にする
短時間通所リハを始めるにあたり、最も大切なのは理念とビジョンです。
世間の多くの中小病院や診療所が短時間通所リハを始めたものの、集客に苦労し、さらには従業員が定着しないという現実に直面しています。
この原因は理念やビジョンを明確にできていないことにあります。
理念やビジョンは通所リハとしての特徴を形成する源泉となり、地域の医療機関や介護支援専門員(以下、ケアマネジャー)から注目されるための必須要素です。
要介護認定者の単なる受け皿として通所リハを開設するのでは、早晩、運営は行き詰まるでしょう。
(2)運営体制・設備を整える
理念やビジョンが決定すれば、それを実現していくための運営体制や設備を構築していく必要があります。
通所リハには法的に必要な人員数が定められていますが、通所リハの理念やビジョンを実現するための人材を配置することが極めて重要です。
例えば、自立支援や介護保険からの卒業をサービスの中核とするならば、自立支援プログラム作成や活動・参加への取り組みに前向きな職員が必要です。
また今後、通所リハは、ケアマネジャーだけでなく急性期や回復期の医療機関との連携が必要とされるため、外部機関と十分にコミュニケーションが取れる人材を配置する必要があります。
また、設備の面でも軽症者と重症者では必要とされる設備が大きく異なるため、理念やビジョンに照らし合わせた配慮が必要です。
(3)外来維持期リハから通所リハへの利用者の流れを確立する
疾患別リハを行っている医療機関においては、外来維持期リハから通所リハへの利用者の流れを構築することが重要です。
そのためには、下記の方法が有効です。
→初診時やリハビリテーションの処方箋発行時に医師から利用者に「疾患別リハビリテーションの算定上限期間を超えた場合は、速やかに通所リハに移行する」ということを伝えておく
→リハを担当する理学療法士などから通所リハへの移行について、日ごろから説明をしておく
→あらかじめ利用者のケアマネジャーと連絡を取り合い、通所リハへの移行の可能性を伝えておく
(4)地域における認知度・信頼度を高めるためのマーケティング活動
マーケティング活動で最初に行うことは周囲の医療機関、介護事業所、ケアマネジャーへの挨拶回り、地域会合への出席、文書の送付などを行い、事業所情報を伝えることです。
この段階では、「利用者を紹介してください」などの「売り込み感」の強い営業は絶対に行ってはいけません。
初期のマーケティングでは事業所の場所、基本サービス、対象とする利用者、特徴あるサービスの内容などの情報提供だけに留めます。
事業所の認知度を高めたあとは「信頼度」を上げていくために、事業所の取り組み内容や実績などの情報を発信していきます。
短時間通所リハの質の高さをアピールすることで、事業所としての「信頼度」が上がっていきます。
当然、アピールに値する取り組みや実績には企業努力が必要です。
「信頼度」を高めるための情報提供は、広報誌、研修会、ホームページなどを活用することが効果的です。
【情報提供元】
■月刊デイVol.228(一部抜粋)
https://dayshop.biz/products/list?category_id=114
■高木 綾一氏(株式会社Work Shift 代表取締役/理学療法士)
株式会社Work Shift
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