認知症の人を焦らせたり、不安にさせたりしたら、どうしてだめなのでしょうか?
「 BPSDを引き起こすきっかけとなるから」というのはすぐに思いつきそうですが、もうひとつ理由があります。
それは、焦り・不安が認知症の進行に関係している可能性が高いということです。
「焦りや不安といったストレスは、認知症を進行させる大きな要素となっている」と考える専門医の先生も多くいらっしゃいます。
認知症は進行します。
しかし、その進行をゆるやかにすることができるというのも重要な特徴です。
進行をゆるやかにする方法として一つは「薬」があります。
薬は、認知症の進行を止めるものではなく、進行をゆるやかにする効果があり、少しでも早い段階での服用が効果的と言われています。
そして、認知症の進行をゆるやかにするもうひとつのポイントは、「ストレスを減らす」ことです。
認知症の人に焦り・不安といったストレスを与えているのがかかわる側であれば、周りの人の適切なかかわりで、認知症の人に与えるストレスが軽減できます。
だからこそ私たちは、かかわり方を学ぶ必要があるのです。
私たちが目指すべきケア
クリスティーン・ブライデン氏は、こんな言葉で表現しています。
「私たちは今、この瞬間を生きているのです」
「認知症の人から言葉は出てきません。表情などから、その人が何を言おうとしているのか、くみ取ってあげてください」
記憶障害が進行し、いろいろなことが分かりにくくなっている不安のさなかにいる人に対して、“優しく声を掛ける” ことはとても大切です。
しかしそれだけではなく、「その人の今の思い」を理解してかかわることも、同じくらい大事なのです。
それをご家族が知らずにいるのならば、その大切さを伝えるのは誰でもない、専門職であるあなた自身なのです。
認知症の人が不安にならず、安心できるようなケアを提供することが「その人らしさ」につながると言えます。
ブライデン氏は「その人の要望に沿って環境を改善する。それが私にとって理想的なケアです」というメッセージを私たちに伝えてくれました。
ここで言う環境とは、「物質的環境」および「人的環境」のことであり、改善とは「安心できるように整える」という意味ではないでしょうか?
だからこそ私たちは、認知症の人が安心して暮らせる理想のケアを目指すために、環境を整える必要があるのです。
私たち介護職は、認知症の人を取り巻く環境そのものです。
今、あなたの目の前にいる人に、「あなたと出会えてよかった」と思ってもらえるよう、これからも一緒に学んでいきましょう。
【情報提供元】
■認知症なるほど事例集(一部抜粋)
https://dayshop.biz/products/detail/52
■渡辺 哲弘氏(株式会社きらめき介護塾 代表取締役/認知症介護指導者)
株式会社きらめき介護塾
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