
ビジョンなき組織が陥る、採用と育成の罠
「求人を出しても応募が来ない」「採用しても定着しない」…多くの介護・医療・福祉事業者が抱える人材不足の悩みは、年々深刻さを増しています。(もちろん一般産業も同様に)
しかし、この問題を単純な人材不足として捉えている限り、本質的な解決にはつながりません。
人材不足の正体は、「人がいない」ことではなく、「選ばれていない」ことにあります。
条件競争では、もう人は集まらない
給与や休日、勤務時間といった条件面での改善は、もちろん重要です。
ただし、それだけで他法人との差別化を図ることには、すでに限界があります。
求職者が法人を見る目は年々厳しくなっています。
「ここでどんな成長ができるのか」
「どんな価値観を大切にしている組織なのか」
「自分はこの組織の一員として、誇りを持てるか」
こうした本質的な問いが、採用の場面で投げかけられるようになっています。
このとき重要になるのが、ビジョンとして社外に発信するメッセージです。
ビジョンは社内向けのスローガンではありません。
その法人が何を大切にし、どこを目指しているのかを示す採用市場における重要な判断材料なのです。
ビジョンが曖昧な法人ほど、条件競争に陥りやすく、結果として「人が集まらない」「定着しない」という悪循環から抜け出せなくなります。
採用と育成が分断されている組織の限界
もう一つ、多くの法人で見られる課題が、採用と育成が切り離されていることです。
「まずは人を確保する」「育成は現場に任せる」―― この発想では、せっかく採用した人材も、自分の成長イメージを描けないまま、早期離職につながりやすくなります。
採用はゴールではなく、あくまでスタートです。
その先にどのような役割を担い、どのように成長していくのか。
その道筋が見えない組織に、人は定着しません。
人材ポートフォリオとは「人を戦略的に育てる設計図」
ここで重要になるのが「人材ポートフォリオ」という考え方です。
人材ポートフォリオとは、単なる人員配置や資格一覧ではありません。
ビジョン達成に向けて、
・どの領域に
・どのような人材を
・いつまでに
・どのレベルで育てていくのか
を戦略的にデザインすることを意味します。
つまり、人材ポートフォリオとは「ビジョン実現のための人材育成シナリオ」そのものなのです。
ビジョンがあるから、人材投資の優先順位が定まる
ビジョンが明確であれば、どの領域に人材投資を行うべきかが自然と見えてきます。
すべての職員に同じ研修を受けさせる必要はありません。
今、そしてこれからの事業にとって、どの力を強化すべきなのか。
その判断軸を与えてくれるのが、ビジョンです。
人材育成は、場当たり的に行うものではなく、ビジョン実現に向けた投資判断として設計されるべきものです。
人材不足の解消は「組織づくり」から始まる
人材不足を解消するために必要なのは、採用人数を増やすことではありません。
「選ばれ」「育ち」「定着する」…その循環が回る組織をつくることです。
その起点となるのが、ビジョンであり、それを具体化する人材ポートフォリオです。
ビジョンなき採用と育成から脱却し、人を戦略的に活かす経営へ。
それが、これからの介護・医療・福祉経営に求められている次の一手なのではないでしょうか。
【お役立ち研修】
次世代介護マネジメントフォーラム
https://tsuusho.com/managementforum




















