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【人が辞めない・人が育つ組織をつくる人的資本経営③】離職を防ぐ組織は、なぜビジョンから人を育てるのか

2026.01.21

離職理由の本質は「条件」ではなく「意味」にある

離職理由としてよく挙げられるのは、「人間関係がつらい」「給与が低い」といった要因です。
しかし、これらはあくまで表層的な理由にすぎず、その奥には、「この先が見えない」「ここで働き続ける意味が分からない」という不安が潜んでいるケースが少なくありません。
人は、将来のイメージを描けない組織に、長く留まることはできないのです。
だからこそ、ビジョンは職員にとっての羅針盤であり、日々の判断基準となります。
自分たちがどこに向かっているのかが分かれば、忙しさや困難も“意味のあるもの”として受け止められ、仕事への納得感が生まれます。
一方で、ビジョンが共有されていない組織では、判断基準が曖昧になり、「なぜこれをやるのか」「自分は何を期待されているのか」が分からないまま、職員は疲弊していきます。


当事者意識のないビジョンは、現場を動かさない

重要なのは、ビジョンを当事者意識のある言葉で表現することです。
「自分たちはどうありたいのか」「どんな状態を目指しているのか」が伝わらなければ、ビジョンは単なる絵に描いた餅の理念文で終わってしまいます。
また、ビジョン策定においては、過去の振り返りと未来分析の両方が欠かせません。
これまで大切にしてきた価値観や存在意義を確認しつつ、今後予測される環境変化を見据えたうえで、変わらずに大切にすべき普遍的価値を言語化していく必要があります。


人材ポートフォリオが育成を「設計」に変える

ビジョンを描いただけでは、組織は変わりません。
そこで活用されるのが、人材ポートフォリオです。
人材ポートフォリオとは単に現在の人員配置を整理するものではありません。
ビジョン達成に向けて「どの段階で、どの経験を積ませ、どの役割を担ってもらうのか」。
人材育成を偶然ではなく、設計として捉えるための考え方です。
育成投資を可視化し、役割と成長の道筋を示すことで、職員は自分の将来像を描きやすくなります。
それが、離職防止と主体性向上の両立につながっていきます。


ビジョン策定はウォーミングアップにすぎない

ビジョン策定はゴールではありません。
あくまでウォーミングアップであり、本番はその後の行動と評価にあります。
ビジョンを日々の業務判断や人事評価にどう落とし込むかが、人的資本経営の成否を分けます。
人的資本への投資を通じて人が育ち、組織が強くなり、その結果として企業価値が高まっていく。
この好循環をつくることこそが、一般産業を含め、特に介護・医療・福祉業界における人的資本経営の本質だと言えるのではないでしょうか。


【お役立ち研修】

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