
現場努力だけでは、もう事業は続かない
介護・医療・福祉業界は今、大きな転換点に立たされています。
制度改定のたびに増え続ける書類業務、慢性的な人材不足、そして利用者ニーズの高度化・多様化。
これまでであれば、現場の工夫や経験則、管理者の献身的な努力によって、何とか乗り切れていた課題が、今や確実に経営そのものを圧迫し始めています。
「何とか回してきた」という感覚が残っているうちは、危機は見えにくいものです。
しかし実際には、事業継続モデルそのものが、限界を迎えつつあります。
今、問われているのは現場の頑張りではありません。
経営として、人をどう捉えるのかが問われているのです。
人的資本経営とは「人を大切にすること」ではない
こうした状況下で注目されているのが「人的資本経営」です。
人的資本経営とは、単に給与や福利厚生を充実させることではありません。
人をコストとして管理する対象ではなく、価値を生み出す資本、すなわち経営資源として捉え、戦略的に投資していくという考え方です。
しかし現場では、
「人員基準があるから、とりあえず人を入れる」
「離職が多いから処遇を改善する」
「他法人より少し給与を高く設定する」
といった対症療法にとどまっているケースが少なくありません。
これらは一時的な効果を生むことはあっても、根本的な解決にはつながりにくいのが現実です。
研修をしているのに、なぜ人は育たないのか
戦略的に人材育成を進めていくうえで、研修や教育の機会そのものは重要です。
しかし、研修を「受けさせること」自体が目的化してしまうと、人的資本への投資は機能しなくなります。
重要なのは、その学びがどのように事業や組織の価値創出につながるのかという設計です。
では、なぜこのようなズレが生じてしまうのでしょうか。
その背景には、求められる人材像の社会的変化があります。
「正解を出す人材」から「最適解を探す人材」へ
かつては「6+4=□」のように、与えられた問題に正確に答える力が評価されてきました。
しかし現在は「10=□+□」の時代です。
環境や状況に応じて課題そのものを設定し、複数の選択肢の中から最適解を探し続ける力が求められています。
介護・医療・福祉の現場においても、マニュアル通りの「正解」を遂行するだけの業務スタイルで、本当に対応しきれるでしょうか。
制度、利用者、地域、職員の価値観が絶えず変化する中で、それだけでは限界があることを、多くの経営者が本当は感じ始めているのではないでしょうか。
トップダウンでもボトムアップでもない「判断軸」としてのビジョン
こうした時代において重要となるのが「ビジョンの策定」です。
トップダウンの指示だけでは現場の主体性は育たず、ボトムアップだけでは方向性が定まりません。
その両者をつなぐ共通の判断軸として、ビジョンは大きな役割を果たします。
ビジョンが明確であれば、職員一人ひとりが「自分たちは何を目指しているのか」を理解したうえで判断し、行動できるようになります。
その結果、現場の主体性が高まり、組織としての一体感が生まれていきます。
人的資本経営の第一歩は、ビジョンの言語化から
人的資本経営とは、人事制度や研修体系の話ではありません。
経営として「人をどう位置づけるのか」という思想そのものの転換です。
その第一歩として、まずビジョンを言語化すること。
それこそが、これからの介護・医療・福祉経営にとって、不可欠な取り組みとなるのです。
【お役立ち研修】
次世代介護マネジメントフォーラム
https://tsuusho.com/managementforum




















