リハビリと機能訓練に関して、下記の6つの論点が挙がっています。
サービス内容や効果の差異が分かりにくいこと、それに付随して、報酬単価をどう設定するのかなどが課題となるからです。
【1】医療分野のリハビリと介護分野のリハビリ
【2】通所リハビリと訪問リハビリによるリハビリ
【3】訪問リハビリと訪問看護のリハビリ専門職によるリハビリ
【4】通所リハビリと通所介護での機能訓練
【5】通所リハビリと通所介護のリハビリ専門職によるリハビリ
【6】通所介護のリハビリ専門職による機能訓練とその他の職員による訓練
【1】医療分野のリハビリと介護分野のリハビリ
医療の役割は「心身機能の改善」で、その改善は発症後6ヶ月以内と位置付けられています。
そのため、診療報酬の対象となるリハビリは6ヶ月を限度とし、それ以後は、介護保険の対象となるのが基本です。
【2】通所リハビリと訪問リハビリによるリハビリ
訪問リハは以下の場合に提供と定義されています。
(1)「通院困難な利用者」に対して提供(通院で同様のサービスが担保される場合は通院優先)
(2)「通所リハのみでは家屋内のADL自立が困難」な場合など、ケアマネジメントの結果、必要と判断された場合
上記から、今後は通所リハが利用困難なこと、通所リハのみでは改善困難なことの根拠が求められるようになるかもしれません。
【3】訪問リハビリと訪問看護からのリハ専門職によるリハビリ
令和3年度改定で、訪問看護ステーションからのリハ職訪問には以下の条件が付されました。
(1)「通院が困難な利用者」に対して提供
(2)「通所リハのみでは家屋内におけるADL自立が困難」な場合など、ケアマネジメントの結果、必要と判断された場合
(3)「看護職員とリハ職が連携した家屋状況の確認を含めた訪問看護の提供が必要」な場合
上記から、今後は通所困難なこと、通所リハのみではADL自立困難なこと、訪問看護の提供が必要なことの根拠が求められるようになりそうです。
【4】通所リハビリと通所介護での機能訓練
以前、運営基準「基本方針」の中で、通所リハでは「リハビリ」、老健では「機能訓練」と表記が違うため、リハビリと機能訓練の差異について厚生労働省課長に尋ねた際に「リハビリは医療であり、機能訓練の一部である。
医師の指示が必要な機能訓練がリハビリとなる」と回答がありました。
医師の判断が必要なこととしては、「リハを受ける際の利用者の状態」と「リハの内容そのもの」が考えられますが、今後は、「医師の指示が必要な状況」の定義付けが厳密化される可能性があります。
【5】通所リハビリと通所介護のリハビリ専門職によるリハビリ
同一の利用者が、同一法人の通所介護と通所リハを利用し「機能訓練」と「リハビリ」を受けることもあります。
リハ職が、通所介護と通所リハを兼務している場合、一人のリハ職から同一の訓練を受けることも考えられます。
このようなケースでなくても、通所リハでのリハと通所介護でのリハ職による訓練との差異があるのかも論点の一つになっています。
【6】通所介護のリハビリ専門職による機能訓練とその他の職員による訓練
通所介護での訓練実施者による違いがあるかについても論点に挙がっています。
これらは、今後もさまざまな調査・研究、議論を基に対応されていくでしょう。
当然その際には、「差異がなければ報酬単価も同じにする」という方向に収束していくと思われます。
【情報提供元】
月刊デイ2022年4月号特集記事「デイサービス・通所リハビリ必見!通所サービスのこれから」
【学ぶ】
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