[質問]
「決まった席でないとイヤ」「いつも同じ時間でないとイヤ」融通の利かないご利用者の対応に困っています。
通所介護でご利用者の席への強いこだわりに困っています。
その方は自分の席にほかのご利用者が座っていると、「なんであの人が私の席に座っているのか」と職員にクレームをつけてきます。
「人数の都合で、今日はほかの席に座ってほしい」と言っても「私の方が昔からこの席なんだから、嫌だ」と言って聞いてくれません。
自分の隣に座るご利用者についても、「あの人はここ。この人は私の隣」など指図をして、自分の思い通りにならないと文句を言います。
さらに、リハビリやプログラムなどが、いつも同じ時間でないと、「今日はいつもより遅い」「なんでこの時間じゃないといけないんだ」などと不満を言います。こちらの都合でご利用者に動いてもらわないといけない事情もよくないとは思うのですが、あまりにも融通の利かないご利用者の対応に困っています。
ご利用者と自分自身のことを理解する
こだわりの強いご利用者とのかかわりを考えるときの2つのポイントを紹介します。
1つ目はご利用者のことを理解すること、そして2つ目は自分のことを理解することです。
ご利用者のことを理解する
相手がどのような人なのか、自分なりによく理解することは大切です。
「なぜ席や時間にこだわるのか」「ご利用者はどのように訴えているのか」「どんなときにこだわりが強くなるのか」「こだわらないときはどんなときなのか」などさまざまな角度からご利用者のことを考えてみましょう。
想像できることとして、その人には非常に変化に弱い一面があるのではないかということです。
クレームなどを言い、一見強そうに見える一方で、ちょっとしたことで不安や恐れを感じて、職員に訴えているというケースです。
そのように相手のこだわる理由をよく観察し、聞いてみると、ご利用者のことがより理解できます。
理解できるようになると、自分のかかわり方が少し変化できることに気づくでしょう。
例えば、クレームの多いご利用者に、こちらから「席を変わってほしい」と話す際、「クレームばかり言っていて怖い」などの感情から、必要以上に対決的な言い方になってしまったり、変にへりくだりすぎて相手に適切にメッセージが伝わらなかったりすることがあります。
しかし、相手がどのような人なのか、よく理解するように努めると、自分のコミュニケーションスタイルが変わります。
自分のことを理解する
2つ目は、その問題を目の前にしたときの自分自身についてよく理解することです。
「こだわりの強いご利用者がいることが、私にとってなぜ問題になるのか」と考えるのです。
つまり、「こだわりの強いご利用者が問題」ではなく、「こだわりの強いご利用者がいることで、私自身が何を問題と感じていて、どんなことが自分にとってのストレスなのか」「自分自身が問題と感じているこの事柄についてどうするか」という視点で考えるのです。
このような時、問題について整理する質問技法として、カウンセリングメソッドというものがあります。
それは以下の質問項目からなります。
(1)あなたが今、抱えている問題は何ですか
(2)あなたにとって、なぜこれが問題なのですか
(3)あなたはいつからこの問題を抱えているのですか
(4)この問題で最悪だったのはいつですか
(5)誰のせいでこの問題が起きたのですか
(6)この問題はあなたに(あるいはあなたの日常に)どのような制限を加えているのですか
(7)あなたの望ましい状態は?
この(1)~(7)の質問に答えることで、ご利用者にとっての問題と自分にとっての問題を整理します。
特に質問(1)、(2)がポイントです。
【情報提供元】