記録がないと何も認められない!
サービス提供記録、支援経過記録、ケアカンファレンス記録、個別機能訓練記録、お泊まりサービスにおける夜勤業務記録など、介護サービスの運営においては、いろいろな「記録」を作成する必要があります。
介護サービスは「計画」によって実施され、「記録」によってサービス提供の事実を確認・報告するシステムになっています。
例えば、会社において出張経費を精算するときには、領収書という証憑書類を提出しないと費用は支払われません。
同様に、介護サービスにおいては「記録」がないと、サービス提供の事実が確認できないとして報酬の請求は認められません。
何かあったとき、守ってくれるのは記録だけ
介護保険制度は記録があって初めて適正な運営が認められる世界です。
実地指導で何か問題が起こったときに、守ってくれるのは記録だけです
記録は「ただあれば良い」というものではない
今の時代、記録は手書きよりも、パソコンやタブレットに直接入力することが多くなっています。
その入力方法も簡素化されていて、基本的な文章が複数用意され、ただ選ぶだけという場合も多くなっています。
とはいえ、手書きでの記録もまだまだ主流です。
記録はただあれば良いというものではありません。
特に、利用者個人を観察した結果や普段とは異なる動作などについては、個別に自分の文章で記載する必要があります。
記録は簡潔に、5W1Hを基本として記載する
記録は簡潔に、5W1Hを基本として記載します。
Who(だれが)、When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)を念頭に文章をまとめます。
すなわち、担当者名、日時、場所、結果や成果、原因、その方法やプロセスをできる限り詳細に記載します。
実地指導での記録関連の指摘事項の多くが「表現があいまいである」「具体的でない」という文章表現の問題です。
誤字脱字が多い場合も指摘されます。
ただ長いだけの文章も不可です。
できる限り簡潔な文章にまとめます。
この点は、繰り返し多くの記録を書くことで自然にスキルアップします。
ある程度のレベルに達するまでは上司などがチェックする必要があるでしょう。
記録の改ざんを疑われないようにする
記録は何かあったときに守ってくれる、唯一の証拠です。
同時に、誤った書き方をすると改ざんを疑われる場合もあります。
手書きの場合、後から消しゴムで消したり、書き直しができる鉛筆やペンなどの使用は不可です。
ボールペンなどを使いましょう。
修正液の使用も不可です。
もし書き間違いがあった場合は、見え消しでラインを引き、その上に書き直します。
厳密には「訂正印」を押すのが本来の処理方法です。
※訂正印とは、直径2~3㎜程度の訂正専用の印鑑のことです。
通常の大きさの印鑑を押すと、周りの文章が読みにくくなりますので控えてください。
文字と文字の間に空間を取ったり、後から書き足せるようにスペースを空けておくなども厳禁です。
同じ筆跡でも、付け足した場合はバランスが不自然になります。
そのような行為があると、事業所全体の信頼をなくし、実地指導はより厳しい目で見られることになります。
パソコン入力の場合、入力日や訂正した日の日付がパソコン上に残ります。
実地指導などで記録の改ざんが疑われた場合は、パソコン上での日付が確認されますので注意してください。
監査になるとパソコンが押収されることもあります。
やむを得ず、後日文章の手直しを行う場合は、その理由や変更箇所が分かるように別に記録を付けておくといった対応を怠ってはいけません。
それらの手間がすべて記録の信憑性につながります。
信頼のおけない記録には意味がありません。
記録は事業所の顔。いつでも本人や家族が閲覧できるように記載する
例えば、サービス提供記録は利用者に都度交付する必要はありません。
事業所側で保管して、利用者や家族の求めに応じて速やかに閲覧できる状態であれば良いことになっています。
すなわち、実地指導以外でも、日常的に利用者などに見られる可能性のある記録だということです。
そのため、読みやすい文字と文章での記載が求められます。
事業所にとって記録は商品です。
殴り書きの記録は、事業所自体の信用を落とします。
ある事業所は、新入職員に入社時点から一週間程度は記録の書き方を徹底する研修をしています。
日常業務でも、残業手当を支給してサービス提供後の記録はしっかりと書かせます。
その結果が、新しい利用者の獲得につながるからです。
記録は事業所の顔であるという認識を持つことは大切です。
【情報提供元】
■月刊デイVol.247(一部抜粋)
【指導・監査ついて学ぶ】