デイサービスなどでよく、昼ごはんを食べてしばらくしたら「家に帰りたい」と訴える利用者がいると思います。
スタッフが、「○時になったら帰れますから」と説得したり、「車を運転する人が○時にならないと来ないんです」「あのドアは○時にならないと開けられないんです、すみません」などとごまかすこともよくあります。
この帰宅願望の訴えに、どんな思いと理由があるか考えてほしいのです。
言った通りに家に帰してあげることは可能だと思いますが、明日になればまた同じように「家に帰りたい」と言われます。
それは、根本的な原因へのアプローチになっていないからです。
そう考えると、この「帰宅願望」は何かほかの意志を表すサインであると仮説を立てることができます。
まず、その内容は、「今日は歯医者に行くから」「孫が訪ねてくるから」「家で家族が待っているから」などさまざまですが、共通している点があります。
それは、「その場から離れたい」ということです。
ずっと同じ部屋に居たり、常に人の視線を感じていたりすると、その場から離れたいと思うものです。
私たちだったら、「トイレに行こう」「外の空気を吸ってこよう」などと言うのではないでしょうか。
それは、聞いている側が「あ、いってらっしゃい!」というようなたわいもない内容です。
ところが施設では、利用者が一人で立つ動作が見られたらスタッフがすかさず駆け寄り、「どうされたんですか?」と聞きます。
このとき、普通なら「ちょっと外の空気でも吸ってくるわ」と言えるはずなのに、認知症のためとっさに言葉が出ない。
まして、立つ度に問いただされているから、「どう言えばスタッフさんはここから出してくれるだろう」と考えます。
そして「歯医者に行くとでも言ったらスタッフはここから出してくれるだろう」と思い、言ってみるのです。
しかし、期待した返答はなかなか得られません。
そんなとき、利用者はきっと失望しているのではないでしょうか。
デイサービスでよく聞く「帰宅願望」。
これが出ているときは利用者がスタッフを信頼してコミュニケーションをとろうとしているサインだととらえ、その方がどんな思いで、その言葉を発しているかを考えてみてください。
それが理解できれば、対応も変わってくるでしょう。
利用者の期待と信頼を裏切らないスタッフでいることが安心につながり、ストレスの減少にもなります。
【情報提供元】
デイの管理者&リーダー「だよりね」
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