訓練を提供する前に、本人の気持ちや考え方について聞き取り、「活動と参加」が促進されない原因を探る必要があります。
その原因には、心身の状態が影響している場合と、本人にかかわるセラピストや周囲の環境が影響している場合があります。
まずは、本人と本人以外の要因を区別して考えましょう。
次に、物事の考え方には、内的統制と外的統制の2タイプがあります。
物事に対して自分のせいであるか、他人のせいであるかと考える思考のことです。
「 本人」と「本人以外」で考えられる意欲低下の要因
本人の要因として考えられること
●体力・筋力が足りない
●やりたいことが見つからない
●失敗を気にして不安になっている
●意味がないと諦めている
●病気や年齢、環境のせいにしている
本人以外の要因として考えられること
●やりたいことの評価や課題抽出が不十分
●目標と訓練の設定が曖昧
●自宅を訪問しておらず、実生活がイメージできていない
●自宅での役割について把握不足
人は課題に対して内的統制の思考を持たなければ、問題解決をすることはできないといわれています。
例えば、「一人で食事の準備・片付けができるようになりたい」「一人で入浴できるようになりたい」などの目標を立てた際、施設で過介助・過剰なかかわり方をすると、本人のでき得る活動の機会が奪われ、目標に対しての心身機能を生かした活動が減り、さらに考える機会も減少するために、役割・意欲の低下へとつながっていきます。
このようなかかわり方では内的統制の思考は身に付きません。
だからこそ、当施設では、内的統制の思考が身に付くように、本人ができることはできる限りしてもらいます。
例えば、食事は準備から片付けまで自分でしてもらうなどです。
活動することで考える機会も増えるほか、取り組んでいる姿を見たスタッフ・他利用者から「すごいですね」と声を掛けられたり、「できるんだわ」と承認されるようになります。
また、その姿が「○○さんのように頑張りたい」と他利用者を勇気づけることにもなります。
さらに、施設と自宅でのできる活動の相違をなくしていくことで、自宅での役割ややりがいにもつながっていきます。
活動を継続することで、本人は課題に対して「どのようにしたら楽にできるか?」と考える機会が増え、思考は内的統制へ変化しやすくなります。
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