私たちは、通所系サービスを中心に介護・看護に携わる方のワンランク上のスキルアップをお手伝いいたします

snsやYouTubeでも情報配信中
facebook
twitter
insta
youtube
メール会員登録

【認知症ケアにかかわる「人づくり」の基本】現場を変える、育てたい3つの能力

2026.01.22

認知症ケアにおいて最も重要なものは何か。
技術か、知識か、それとも経験か。
もちろんどれも欠かせない要素ですが、根本にあるのは「人間を理解する力」だと言えるでしょう。
利用者の尊厳を守るという介護の原点も、突き詰めれば「その人をどう理解するか」に行き着きます。
認知症ケアとは、症状に向き合う営みである以前に、「一人の人間と向き合う姿勢」を育てる営みなのです。


現場の空気を決めるものは何か

認知症のある人が穏やかに過ごし、笑顔が自然に生まれている現場に出会うことがあります。
在宅時には周辺症状が強かったと聞けば、その変化に驚かされることも少なくありません。
そうした現場に共通しているのは、「空気のやわらかさ」です。
設備や環境の工夫だけでは説明しきれない、独特の安心感がそこにはあります。
その正体を丁寧に観察していくと、必ず浮かび上がってくるものがあります。
それは、職員一人ひとりの「利用者を温かく包むような視線」です。
どれほど環境が整っていても、そこに冷たい視線があれば、安心感は生まれません。
逆に、限られた条件の中でも、職員のまなざしが変われば、現場の空気は大きく変わります。
つまり、認知症ケアの質を左右するのは、制度や設備以上に「人」なのです。


「人柄」や「コミュニケーション力」だけでは足りない理由

介護人材の資質として、「人柄が良い」「コミュニケーション能力が高い」といった言葉がよく使われます。
確かに、認知症のある人にとって、安心できる相手かどうかは極めて重要です。
認知症の人は、見当識の低下によって、常に不安を抱えています。
目の前の人が信頼できる存在かどうかは、言葉よりも雰囲気や態度で判断されます。
しかし、「安心させる人柄とは何か」「信頼されるコミュニケーションとは何か」を言語化することは簡単ではありません。
さらに厄介なのは、人柄やコミュニケーションの評価が、相手によって大きく変わるという事実です。
社交的な人が必ずしも信頼されるとは限らず、無口な人が強く慕われることもあります。
利用者の人生経験や価値観によって、「安心できる人」の基準は変わるからです。
だからこそ、認知症ケアにおける人材育成は、表面的な「人柄」や「話し方」の指導にとどまってはいけません。
より本質的な能力に目を向ける必要があります。


認知症ケアを支える3つの能力―洞察力・思考力・自省力―

利用者を温かく見ることができる人は、どのような能力を持っているのでしょうか。
そこには、少なくとも次の3つの力が存在します。


(1)洞察力 ― その人の奥にあるものを見る力

洞察力とは、表面的な言動の背後にある意味や背景を読み取ろうとする力です。
「問題行動」と見える行為の中に、その人なりの理由や思いを見出そうとする姿勢が、洞察力の出発点になります。


(2)思考力 ― 可能性を諦めない力

思考力とは、「どうせ無理だ」と結論づける前に、別の可能性を考え続ける力です。
利用者の行動や変化を固定的に捉えず、複数の視点から解釈しようとする姿勢が、ケアの質を大きく変えます。


(3)自省力 ― 自分自身を客観視する力

自省力とは、自分の感情や思考を冷静に見つめる力です。
イライラや疲労が強いとき、人は無意識に相手を否定的に見てしまいます。


「自分はいま余裕がない」と気づけるかどうか。
この気づきがあるかどうかで、ケアの質は決定的に変わります。
洞察力と思考力を安定して発揮するためには、この自省力が不可欠なのです。


3つの能力は「才能」ではなく「育成可能な力」である

これらの能力は、年齢や経験によって差が生じます。
しかし、それは才能の問題ではありません。
意識的なトレーニングによって、誰でも伸ばすことができる力です。
例えば、洞察力を鍛える簡単な方法があります。
利用者の日常場面を写真やエピソードとして取り上げ、「この人はどんな人生を歩んできたのか」「どんな価値観を持っているのか」を想像してみるのです。
正解を求める必要はありません。
自由に仮説を立てること自体が、洞察力を育てます。
この作業を続けると、ある変化が起こります。
利用者への見方が変わり、「もっと知りたい」「もっと理解したい」という感情が生まれてくるのです。
これは単なる技術の習得ではありません。
ケアする側の「まなざし」そのものが変わっていくプロセスです。


認知症ケアの質は「人づくり」で決まる

認知症ケアの難しさは、マニュアルだけでは対応できない点にあります。
だからこそ、現場では「経験に任せる」「個人の資質に頼る」傾向が強くなりがちです。
しかし、人材不足が深刻化する中で、偶然に優れた人材が育つのを待つ余裕はありません。
必要なのは、ケアに必要な能力を言語化し、意図的に育てる仕組みです。
洞察力、思考力、自省力。
この3つの能力を軸にした人材育成は、認知症ケアだけでなく、すべての対人援助職に通じる普遍的な価値を持ちます。
利用者を変えようとする前に、まずケアする側の「見る力」を育てる。
そこから始まる人づくりこそが、これからの介護現場に求められる最も重要な改革なのではないでしょうか。


【お役立ち情報】

認知症ケア最前線

https://dayshop.biz/

【お役立ち研修】

実践!認知症ケア研修会2026

https://tsuusho.com/dementia

実践的!看取りケア研修会

https://tsuusho.com/mitori

新人指導者・新人~中堅介護職・看護職が知っておきたい尊厳保持と自立支援のケアで行う基本技術セミナー

https://tsuusho.com/basicskill

次世代介護マネジメントフォーラム

https://tsuusho.com/managementforum

学べる研修一覧

指導監査
計画書
マンネリ防止
赤字脱却
ACPと看取りケア
認知症ケア研修会
制度改定
介護マネジメントフォーラム
離職防止
介護技術
介護の管理者
【オンライン】管理者養成講座
【オンライン】環境づくり
【オンライン】リハビリ90講座
セミナー動画配信
ページトップ ▲