リハビリの効果を向上させる介護職とリハ職の連携強化
リハビリテーションでは、筋力強化練習、立ち上がり練習、歩行練習、生活関連動作練習などを行い、利用者の生活機能の回復や維持を図りますが、運動療法や動作練習を行う前提条件として、体調やバイタルサインの安定があります。
利用者の体調が悪ければ、リハビリへの意欲は湧きませんし、リハビリの拒否にもつながります。また、バイタルサインが安定していなければ、リハビリ中の急変や事故のリスクも高くなります。
介護職とリハ職における利用者のADLレベルの共有も重要です。
利用者のできるADLが生活場面で発揮されないことは多く見られ、原因の一つとして、介護職とリハ職の利用者のADLに関する情報の共有不足が挙げられます。
良質なケアの実践には介護職のスキルが欠かせない!
食事摂取量の把握、嚥下状態に応じた適切な食形態や食事介助、飲水や尿量の評価、下肢の浮腫や呼吸の評価など、日常の中で適切なケアや評価を行うことで、体調悪化の予兆をつかむことができます。
少しでも異常を感じれば、医師、看護師、リハ職と連携し、必要に応じて医療的な介入をすることができれば、体調不良の悪化を防ぐことができます。
また、リハ職も体調やバイタルサインに異常を感じれば、介護職にケアの状況を確認する必要があります。
例えば、下肢のむくみが生じている利用者がいた場合、心不全の可能性があります。
その場合、リハ職は介護職に、「体重の変化がないか?」「夜はちゃんと睡眠がとれているか?」「水分摂取は過剰になっていないか?」などの確認をして、心不全の評価をしなければなりません。
つまり、介護職、リハ職ともに内科系の疾患やその評価方法についての知識がなければ、連携を図ることは困難となります。
医師や看護師と比較して、介護職とリハ職は内科系の疾患に関する知識が乏しいといえますので、介護職とリハ職が共同で勉強会などを実践することで、知識を高め合う必要性があるでしょう。
ADLレベルの情報共有
一般的にリハ職は、「介護職は利用者の生活支援を直接的に担当し、日々の変化を把握しているため、利用者のADLの能力が上がれば、介護職の方でADLを調整したケアをしてくれる」と考えています。
しかし、特に数多くの利用者のケアをする施設系介護職は、勤務シフトによっては担当フロアが異なることも多く、介護職が利用者のADLの能力やその変化を詳細に把握することはほぼ不可能です。
例えば、リハビリで四点杖歩行の方がT 字杖歩行に変化した場合、リハ職は、「介護職もT字杖歩行を利用者に促してくれる」と考えます。
しかし、実際には大変忙しい現場で働く介護職が、ADLの変化に気付くことは難しく、利用者へのADL向上のかかわりは難しいのが実情です。
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【情報提供元】
■リハージュvol.2(一部抜粋)
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