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ご利用者が集まるサービスを提供し、 要介護度改善・業務の効率化に取り組む【日高デイトレセンター】

2020.10.01

【1】旧態依然としたデイサービスから脱却し、"利用者が集まる"仕組みに

戦略としては定員を最大規模にまで引き上げ、稼働率のアップを図ることだ。

稼働率を上げるためには、『ご利用者を集める』のではなく、『ご利用者が集まる』仕組みをつくることが大切である。

弊社ではまず、ターゲットを団塊の世代に絞り、次世代型デイサービスとしてプロモーションを行った。

広いスペースにリハビリのコンテンツを200以上用意し、やりたいことを自分で選べるようにすることで、旧態依然とした幼稚なデイサービスからの脱却を図った。

その最たるものは、現金の持ち込みを解禁したことだ。

デイサービスでは、現金の持ち込みは禁止している事業所が大半である。

施設通貨で現金のやりとりを模している事業所が先進的だとされていたときに、弊社のデイサービスは現金の持ち込みを許可し、デイサービス内の喫茶店※で飲食することも可能にした。
※…事業所の1階にカフェを設置しており、コーヒーやトーストなどの軽食を提供している(実費)。ご利用者は普段の昼食の代わりに利用することも可能となっている。


現金の持ち込みを解禁した当初は現金の紛失などを危惧していたため、買い物リハビリなどを希望される方には同意書への記入を求めていたが、思ったほど問題が起きなかったため、今では行っていない。

また、地元スーパーとの連携により、毎日移動スーパーが新鮮な肉や野菜、日用品を販売してくれるコンテンツも開発することができた(購入した物は施設内の冷蔵庫で保管)。

この移動スーパーに関しては、ケアマネと連携し、ケアプランの中で買い物をリハビリの場として位置づけてもらうことで、誰でも移動スーパーをリハビリの場として活用することができるようになった。


実際の事例では、メモを見ながら奥様に頼まれた商品を探すご利用者や、自宅の冷蔵庫に何が不足しているかしっかり確認してきたと、胸を張って買い物リハビリを行うご利用者がいた。

また、おつりをしっかり確認して現金の授受を行っているかなど、スタッフにとってもリハビリのアセスメントにつながっている。

また、購入するものが重たい物でも、送迎スタッフに勝手口まで運んでもらえる上、御用聞きまでしてもらえるため、ご利用者にとって最高のリハビリとなり、結果としてご利用者が集まる仕組みとなった。

このように「今までのデイサービスではタブー視されていた現金の持参を解禁したこと」は、デイサービス業界のイノベーションとなった。

他の事業所でも、介護業界にはびこる思い込みの呪縛を解き放つことができれば、簡単にイノベーションを起こし、ご利用者が集まる仕組みづくりができると考えている。


【2】要介護改善に向けたデータ活用

デイサービスのプロモーションを要介護度改善に特化させるというものだ。

弊社は、経済産業省から平成28年度健康寿命延伸産業創出推進事業の事業採択を受け、【ICTリハ】という要介護度改善者の再現性を追求するシステムおよび、リハビリのプラットホームを自社開発した。

簡単に説明すると「要介護状態から改善した人は、どんなリハビリを、どんな割合で行っていたのか?」を分析し、維持・改善した要介護者のデータを大量に集め、「ビックデータ分析」と「人工知能周辺技術」を活用し、一人ひとりに合った“パーソナルベストなリハビリ”を提案するというシステムである。

初回アセスメントを基にパーソナルベストを提示し、利用開始から3ヶ月後に実際のリハビリがどのように行われたか、パーソナルベストとどのくらい開きがあるかを確認し、パーソナルベストへ近づくよう提案する。利用開始時は、パーソナルベストだけの提示となる。

ここでパーソナルベストなリハビリについても触れておこう。

弊社のデイサービスのリハビリのコンテンツは200以上あることは前記した通りだが、そのすべてのコンテンツは8つのメニューに属している。


その8つのメニューとは

①有酸素運動

②筋トレ

③認知トレーニング

④ストレッチ

⑤スポーツ

⑥栄養サポート

⑦血圧管理

⑧日常生活動作訓練


である。

この8つのメニューの組み合わせとその割合のベストミックスをグラフ化し、ご利用者ごとに提案させていただくといったものだ。

これにより有酸素運動ばかりしていた人に筋トレや栄養サポートの必要性を認識していただけるなど、行動変容に結びつくことで多因子介入(多様なメニューの実践)が進み、良い結果をもたらした。

人は弱いもので、効果が実感できなければ自分のやりたいことしかやらなくなる。

しかし、ビックデータと人工知能周辺技術を活用し、多因子介入が必要なことをデータで見える化することで要介護度の改善に導くことができる。

このシステムの検証の過程で、団塊の世代はデータで評価することにも理解があり、科学的リハビリを望んでいることも分かった。

今までのリハビリは、セラピストの勘や経験則に依存していた。

弊社ではそこに科学的エビデンスを加えることで、介護職員でも行うことができる全員リハビリに移行させてきた。


【3】ICTを活用した業務の効率化を行う

デイサービスにおけるICTを活用した業務効率の向上だ。

これは生産性の向上とも言い換えられる。

デイサービスを大型化し、稼働率が上がるとご利用者数は増える。

効率的運営ができないと残業ありきの仕事になり、スタッフが疲弊してしまう。

【ICTリハ】の開発では、特に記録業務の効率化にこだわった。

弊社では、ご利用者の名札にバーコードが記載されており、すべてのコンテンツがバーコード管理になっている。

データコレクターでコンテンツのバーコードを読み込み、次に参加した多くのご利用者の名札を読み込み、データコレクターをパソコンに近づけるとBluetoothで一瞬にしてデータをインポートできる。

そのほかにも【ICTリハ】はすべての業務をデジタル化しているため、バイタルチェックから連絡ノートへ、バイタルチェックから支援経過記録へ同時にデータが読み込まれ、同じことを二度も三度も書く必要がない。

月末に行う実績報告もファックスモデムに接続し、ご利用者ごとの担当ケアマネ事業所へ一斉送信して業務は終わる。

これらのシステムにより、ほぼ手書きの業務はない。

今後の法改正に向けて、通所回数月間6,000回にもなるデイサービスで残業がほとんどなく、業務が遂行できることも弊社の強みとなるだろう。

また、これからの取り組みとしては、【ICTリハ】の外販促進や、併設スポーツジムの拡充、自費リハビリなど、デイサービス事業とシナジー効果がある介護保険外サービスを充実させようと考えている。


【情報提供元】

■デイの経営と運営Vol.41(2018年3月発刊一部抜粋)

https://dayshop.biz/products/detail/304

■株式会社エムダブルエス日高

https://mws-hidaka.jp/


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