麻痺のレベルにもよりますが、片麻痺の肩関節の特徴として、「表面の筋の過剰な収縮と肩関節のコントロール不足」が挙げられます。
大胸筋などの表面の筋が過剰に収縮し、内旋位を取りやすくなるのは、
【1】大胸筋(大きな筋)は運動単位が多いため収縮しやすい
【2】表面の筋は外的な刺激が多いため収縮しやすい
【3】安静時、三角巾・アームスリングで固定することにより、肩関節が内転・内旋位で固定されやすい
ためです。
内旋位になることで肩関節の可動性が低下し、動きにくさを助長しているのです。
肩関節の外旋可動域の確保は、常に意識しておくべき項目です。
肩関節の痛みは大きく6つに分けられます。
肩手症候群、視床痛は、セラピストのみで対応することは難しく、現状どのような痛みがあり、どのぐらいで痛みが生じてしまうのかを把握して医師と相談し、投薬状況を確認します。
セラピストが過度に痛みに対してのアプローチを行うと、逆効果になる可能性もあります。
また、亜脱臼は痛みが生じる原因といわれていましたが、現在は、造影所見により肩関節痛、腱板断裂、亜脱臼の関連性はなく、疼痛の原因は亜脱臼以外にあると、文献にも報告されています。
片麻痺患者特有のインピンジメントは、脳血管障害により、肩甲骨周辺の緊張異常(低緊張による肩甲骨の下制・後退)が起き、上肢アライメント異常(高緊張による内転・内旋)から、通常では起こり得ない肩峰下インピンジメントを引き起こします。
長期化すれば上方組織(肩峰下滑液包など)の炎症症状を引き起こし、痛みの原因となります。
脳血管障害における肩の痛みにはさまざまな要因がありますが、セラピストとしては、まずどのような痛みがあるかを知り、そこで「セラピストとして介入できる痛みかどうか」の見極めが必要です。
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