認知症の人を焦らせたり、不安にさせたりしたらどうしてだめなのか。
その問いに対し、私の知っている介護職員の多くは、「どうしてって言われても…そんなことは当たり前のことだから」と答えました。
「当たり前のことだから…」
確かにそうかもしれませんが、物事には根拠があるはずです。
そこで、焦り・不安に焦点を当てて考えてみたいと思います。
以下にお話しする2つのことは、認知症ケアに携わる者として最低限知っておきたいことと私は考えます。
まず1つ目は、焦り・不安が認知症の進行に関係している可能性が高いということです。
みなさんもご存知のように、認知症は進行していきます。
しかし、その進行をゆるやかにすることができるというのも大事な特徴です。
進行をゆるやかにするポイントの1つとして「薬」があります。
認知症の人が服用できる薬として、塩酸ドネペジル(アリセプト)、ガランタミン(レミニール)、リバスチグミン(リバスタッチパッチ・イクセロンパッチ)、メマンチン(メマリー)などがあります。
これらの薬は認知症の進行を止めるものではなく、進行をゆるやかにする効果があり、少しでも早い段階での服用が効果的と言われています。
そして認知症の進行をゆるやかにするもう1つのポイントは、「ストレスを減らす」ことです。
「焦りや不安といったストレスは、認知症を進行させる大きな要素となっている」と話す専門医の先生も多くいらっしゃいます。
認知症の人に焦りや不安といったストレスを与えているのがかかわる側であれば、周りの人の適切なかかわりで認知症の人に与えるストレスを軽減できます。
要するに認知症の進行をゆるやかにできると言うわけです。
だからこそ私たちは、認知症の方とのかかわり方を学ぶ必要があるのです。
焦り・不安が認知症の進行に少なからず関係している可能性が高いということは、ぜひ覚えておきたいことです。
【情報提供元】
■認知症ケア最前線Vol.41(一部抜粋)
■渡辺 哲弘 氏(株式会社きらめき介護塾 代表取締役)
【認知症ケアについて学ぶ】