介護や医療の目的は、対象者の生活や人生の質(QOL)を高めることです。
したがって、介護や医療がかかわることによって対象者のQOLが低下することがあってはいけません。
リスクマネジメントの対象はさまざまですが、介護分野で最も重要となる対象は利用者です。
クライアントが最も重要な対象となる分野はほかにもありますが、介護・医療分野で特に強く見られる特徴として、「利用者が事故を起こしやすい集団である」ということが言えます。
■行方不明事故について
認知症高齢者が外出したまま家に戻れなくなり、あてもなく歩き回るといった徘徊は、介護者にとっては「事故に巻き込まれたかも…」という不安から精神的に大きな負担になります。
行方不明事故への対応については、以下のマニュアルを参考にし、施設内外で連携を確認しておきましょう。
行方不明マニュアル
[1]行方不明と思われたら
(1)
・施設内(トイレ・各部屋・風呂・廊下・階段など)及び外部周辺を捜す。
・リーダーの指示の下、各自携帯電話を持って効率よく捜す。
・本人発見時は、施設内放送(あらかじめ合言葉などを決めておく)や携帯電話で連絡を取り、速やかに職場復帰をする。
(2)
・未発見の場合は管理者に連絡し、管理者の指示の下、施設内でケアを担当する者と捜索する者に分かれ、捜索隊は各自携帯電話を持参し、分散して捜索に当たる。
・リーダーは、家族に行方不明の恐れがあることを連絡し、30分捜しても不明なときは再度連絡する旨を伝える。
・本人発見時は、家族に連絡すると共に携帯電話にて関係者に連絡し、捜索隊は速やかに職場復帰する。
・当日、リーダーは家族に謝罪に行く。
(3)
・30分後も未発見の場合は家族に連絡し、警察・タクシー会社・バス会社など関係部門への届出の相談をし、話し合いの結果にしたがって、届出を実施・未実施する。(未実施の場合は、何時間捜索したら届け出るか決めておく)
・本人発見時は、家族に連絡すると共に携帯電話にて関係者に連絡し、捜索隊は速やかに職場復帰する。
・当日、管理者・リーダーは家族に謝罪に行く。
(4)
・未発見の場合は、引き続き捜索に当たるとともに、施設利用者の帰宅に向けての準備を行う。(介護タクシー・一般タクシー・スタッフによる送迎などの手配など)
・関係機関への届出を行っていない場合は、家族と話し合いの後、届け出る。
・本人発見時は、家族に連絡すると共に携帯電話にて関係者に連絡し、捜索隊は速やかに職場復帰する。
(5)
・未発見の場合は、引き続き捜索に当たる。管理者は、捜索継続時間・翌日のサービス実施の可否などを決め、決定にしたがって人員を割り振る。
[2]捜索後
・事故報告書の提出(必要に応じ、市長村担当部署へ連絡)
・対策を立案
・処理報告を本人・家族に行う(必要に応じ、ケアマネ、包括支援センター・市町村担当部署へ報告)
【情報提供元】
認知症ケア最前線
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