片麻痺の方の環境設定では、扉などは同じ場所でも「開ける・閉める」などの動作によって麻痺側・非麻痺側の位置関係が入れ替わってしまうことを考慮することが大切です。
■玄関までの経路と状況
4点杖を使用されている場合、床面が整地されていない屋外では、屋内のような移動ができない場合があるので注意します。
→なだらかな坂道、砂利、雨でぬかるむ場所、飛び石、道幅が狭い部分などを確認
→車イス、歩行器、杖歩行、それぞれの場合をチェック!
■玄関アプローチ
手すりの設置などはご家族の意向でつけにくいことがあるので注意します。
その場合、工事不要の設置型の手すりを検討します。
→段差の高さ(高いことが多い)
→踏み面(普通の段差より広めが多い)
■玄関扉の開閉
重厚な扉は重いことがあります。
戸を開け閉めするための動作についてチェックします。
また、車イス使用などで、玄関からの出入りが難しい場合は、掃き出し窓から昇降機を使って出入りします。
→扉の開け閉めのときに杖をどうするのかも確認する
■玄関の上がり框(かまち)
少し前の住宅だと、上がり框の高さが30〜35㎝くらいのものが多く、写真のように台を置いて段差の分割をする場合もあります。
その際、踏面は30㎝以上、幅は50㎝以上が適しています。
ただし、玄関アプローチ同様に玄関は「家の顔」なので、ご家族が手すりや台などの設置を拒まれる場合は、掃き出し窓、裏口など出入りする場所を変える方法もあります。
→玄関自体が狭いために、台などの設置が難しい場合もある
■玄関周囲の段差に手すりを設置する場合
・片麻痺の方の場合、下りるときと上がるときの手すりが逆なので、両方設置するのか片側のみとするのかで動作が変わる
・片側のみとする場合は、上がる・下がるどちらが安全に横向きで段差昇降できるかによって、手すり設置の場所が変わる
・非麻痺側へ横移動で上がると楽な場合が多いので、可能であれば、真ん中に手すりを設置すると、昇降時に手すりのどちらかを選ぶことができる
■歩行器や車イスで中に入る
歩行器や車イスを、どこに、誰がしまうのか、ご家族の負担を軽減するための工夫や方法を考慮します。
→玄関のみ簡易式のスロープを使っている場合、スロープの傾斜や、誰が介助して誰がどこにしまうのかも確認
→スロープは1/12の勾配が目安となります(50㎝の段差だと6mの広さが必要)
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