認知症の方とのコミュニケーションの難しさの要因
(1)加齢に伴う感覚器官の機能低下
(2)記憶力や理解力の低下
(3)判断力の低下
(4)環境 など
[対応]
【1】リハビリだけでなく、生活場面における再評価を行う
【2】理由を探る
→施設スタッフに加えて、認知症ケアチームや認知症ケアの専門家の協力を得て多角的に検討する
アルツハイマー型認知症
・指示は1つずつ簡潔に出す
・新しいことよりも、なじみのあることをプログラムに取り入れる
・実際の生活場面での動作練習を反復して行う
・軽度の方に対してはマルチ課題を取り入れる
・有酸素運動による進行予防効果あり
・見当識へのアプローチとして、日時や場所を会話に取り入れる
・カレンダーや時計を病室に置く
・なじみの物や写真を、部屋や部屋の入り口に置く
・見当識や季節感を刺激するような働きかけをする
・相手の理解を確認してから、次の指示を出す
レビー小体型認知症
・一過性の意識消失などが出やすいので、リハビリ中のリスク管理は特に注意する
・夜間良眠できる程度の適度な運動負荷量に設定する
・すくみ足や固縮などのパーキンソン様症状へのアプローチを行う
・聴覚刺激(リズムや音楽)と組み合わせた運動療法で効果が出やすい
・薬の種類や分量を変更した際は、症状に変化が出やすいので注意が必要
・転倒リスクが高いので、環境設定は早期に行う
・薬効が強いので、服薬コントロールは慎重に行う
・幻視の訴えは否定せず、安心できるような声かけを行う
・床や壁の模様や汚れは幻視を助長するので注意する
・嚥下障害が出やすいので食事の評価を行う
・夜間に行動心理症状が出やすいので、夜間の観察を強化する
前頭側頭型認知症
・できる動作を繰り返す方が好ましいので、タスクを上げ過ぎない
・常同行動を利用してリハビリの時間や内容を固定する
・失語症が出やすいので、日常生活に必要な言語能力の保持に努める
・ノンバーバルコミュニケーションを積極的に用いる
・集中が途切れやすいので、刺激の多すぎる環境では行わない方が良い
・入浴、食事、リハビリなど、スケジューリングして常同行動に組み込む
・本人のペースを乱さないように注意する
・目や手の届く範囲に危険な物を置かない
・同室者や周囲の方とトラブルが生じやすいので気に掛ける
・重度になれば原則1対1のかかわりが良い
脳血管性認知症
・血圧の変動に注意する
・日によって症状にムラが出やすいので、体調に合わせたメニュー設定を行う
・自覚症状はある場合が多いので、自尊心を傷つけないような声かけを行う
・運動麻痺や高次脳機能障害なども併発するので、全身管理を行う
・再発予防のための生活習慣の見直しと、予防プログラムも提案する
・症状にムラがあることを確認し、「前はできていましたよ」などの比較の表現を避ける
・無理なことは福祉用具や介助で補い、できることを伸ばしていく
・感情失禁の引き金となることを見つけるように、行動と感情の関係を観察する
・血圧管理も含めて自分の体調に興味を持ってもらうように指導していく
・食事内容や生活習慣に対して、家族を含めた指導を行う
・定期受診の重要性を指導する
【お役立ち研修】
医療・介護の現場で活かせる実践的リハビリ評価&介入セミナー
第23回日本通所ケア研究大会
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