2023年(令和5年)に制定された、共生社会の実現を推進するための「認知症基本法」に基づく国の認知症施策の基本計画のこと。
この施策に基づき地方自治体は推進計画を策定しなければならない(努力義務)。
認知症の人本人の声を尊重し、「新しい認知症観(誰もが認知症になり得ることを前提に、国民一人一人が自分ごととして理解する。
個人としてできること・やりたいことがあり、住み慣れた地域で仲間と共に、希望を持って自分らしく暮らすことができる)」に基づき施策を推進する。
認知症施策推進基本計画の方向性
(1)「新しい認知症観」に立つ
(2)自分ごととして考える
(3)認知症の人等の参画・対話
(4)多様な主体の連携・協働
基本的施策
認知症の人の声を起点とし、認知症の人の視点に立って、認知症の人や家族等と共に以下の12項目を設定し推進する。
(1)認知症の人に関する国民の理解の増進等
→学校教育、社会教育における「新しい認知症観」に基づく実感的理解の推進
→認知症の人に関する理解を深めるための、本人発信を含めた運動の展開(認知症希望大使の活動支援)
(2)認知症の人の生活におけるバリアフリー化の推進
→認知症の人が自立し安心して暮らすための、地域における生活支援体制の整備等(地域の企業や公共機関等での認知症バリアフリーの推進)
→事業者が認知症の人に適切に対応するために必要な指針の策定
(3)認知症の人の社会参加の機会の確保等
→認知症の人自らの経験などの共有機会の確保(ピアサポート活動の推進)
→認知症の人の社会参加の機会の確保(本人ミーティング、介護事業所における社会参加活動等の推進)
→多様な関係者の連携・協働の推進による若年性認知症の人等の就労に関する事業主に対する啓発・普及など
(4)認知症の人の意思決定の支援及び権利利益の保護
→認知症の人の意思決定支援に関する指針の策定、情報提供(「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」の改定)
→認知症の人に対する分かりやすい形での意思決定支援等に関する情報提供
(5)保健医療サービス及び福祉サービスの提供体制の整備等
→専門的な、又は良質かつ適切な医療提供体制の整備(認知症疾患医療センターの相談機能の充実)
→保健医療福祉の有機的な連携の確保(認知症初期集中支援チームの見直し、認知症地域
支援推進員の適切な配置)
→人材の確保、養成、資質向上(認知症に関する研修の在り方の見直し)
(6)相談体制の整備等
→認知症の人の状況等に配慮し総合的に対応できる体制整備(地域包括支援センター、認知症疾患医療センター等の相談体制整備)
→認知症の人又は家族等が互いに支え合うための相談・交流の活動に対する支援等(認知症地域支援推進員の適切な配置、認知症カフェ、ピアサポート活動、認知症希望大使の活動支援)
(7)研究等の推進等
→予防・診断・治療、リハビリテーション・介護方法等の研究の推進・成果の普及
→社会参加の在り方、共生のための社会環境整備その他の調査研究、検証、成果の活用(介護ロボット・ICT等の開発・普及の支援)
(8)認知症の予防等
→科学的知見に基づく知識の普及・地域活動の推進・情報収集
→地域包括支援センター、医療機関、民間団体等の連携協力体制の整備(早期発見・早期対応・診断後支援まで行うモデルの確立)
(9)認知症施策の策定に必要な調査の実施
→若年性認知症の人を含む認知症の人の生活実態、社会参加・就労支援を促進する体制や社会実装の方策など共生社会の実現に関わる課題の把握と課題解決に向けた調査研究
(10)多様な主体の連携
→かかりつけ医、地域包括支援センター、認知症地域支援推進員、認知症サポート医、認知症初期集中支援チーム、居宅介護支援事業所、認知症疾患医療センター等の連携及び地域住民を含む多様な主体との協働、分野横断的な取組の推進
(11)地方公共団体に対する支援
→地方公共団体の参考となるような取組の共有などの支援
(12)国際協力
→外国政府、国際機関、関係団体等との連携、我が国の高齢化及び認知症施策の経験や技術について世界に向けて情報発信
第1期認知症施策推進基本計画中に達成すべき重点目標
(1)「新しい認知症観」の理解
(2)認知症の人の意思の尊重
(3)認知症の人・家族等の地域での安心な暮らし
(4)新たな知見や技術の活用
評価指標として重点目標に即した「プロセス指標」「アウトプット指標」「アウトカム指標」を設定
推進体制
・地方自治体において、地域の実情や特性に即した取り組みを創意工夫しながら実施
・地方自治体の計画策定に際して、既存の介護保険事業計画等との一体的な策定など柔軟に運用
・行政職員が、認知症カフェなど様々な接点を通じて、認知症の人や家族等と出会い・対話する
・ピアサポート活動や本人ミーティングなどの当事者活動を支援する
・認知症の人や家族などの意見を起点として、施策を立案、実施、評価する
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