介護保険サービスは、介護保険制度に基づいて経営される「制度ビジネス」です。
従って、制度が何を求めているのか、何を目的としているのかを正しく理解しておく必要があります。
「介護保険法」の第一条にその目的は書かれています。
■介護保険法
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
介護保険法では、
『要介護状態の者の尊厳を保持し、有する能力に応じた自立した日常生活が出来るよう』
を目的としています。
ポイントがいくつかあります。
まず、「要介護状態」です。
介護保険法では、「要介護状態」と「要支援状態」を下記のように明確に区分しています。
これを読むと、将来、要支援の者は直接的な介護給付の対象外になることが予測されます。
続いてのポイントは、「尊厳の保持」です。
過去の厚生労働省の会議の中でも「尊厳を伴った自立支援」が重要ということで、筋力増強トレーニングやマシントレーニングだけのトレーニング第一主義のデイに対して警鐘を投げかける議論も出ました。
「尊厳」は抽象的な言葉であり、尊厳が保持できているか否かの判断基準も「各人」「各事業所」で多種多様であり、決められていません。
例えば、職員と利用者のトイレは分かれていて、職員のトイレは見えにくい所にあり 音や匂いも漏れないドアになっていてきれいに整理されている一方、利用者のトイレは隙間から見えるカーテンのみのトイレで匂いも音も漏れる…というような場合、利用者の尊厳は守られているといえるでしょうか?
ぜひ、もう一度考え直してみてください。
続いてのポイントは「有する能力に応じ」です。
私たちは、本当に「利用者の有する能力」を正しく把握し、その能力を最大限引き出せているでしょうか。
Aという職員が介助するとできないが、Bという職員が介助するとできるという場合、Aという職員は本人の能力を引き出せていないということです。
最後のポイントは、「日常生活を営むことができる」です。
介護保険事業の目的は「生活の自立」への支援です。
関節可動域訓練道場や筋力増強訓練道場などではありません。
常に、利用者の生活を支援する視点を持ち続けることが必要であり重要なのです。
これらのことは、介護保険の基本とります。
また意外と知られていないのですが、自立支援・重度化防止は介護保険法第4条では「国民の義務」として定められています。
【介護の在り方について学ぶ】
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