見当識は、時・場所・人から構成されており、アルツハイマー型認知症になると、時(年月日→季節)→場所→人(自分→他人)の順に障害され、混乱がみられるようになります。
見当識は記憶、視覚認知などの認知機能と関係しています。
加齢に伴う見当識の機能低下はみられますが、日常生活に大きな支障は生じません。
高齢になれば道に迷いやすくなり、新しい道を覚えるのも苦手になりますが、迷っても周囲の人に聞くなどして目的地に到着できます。
一方、道に迷ってそのまま家にたどり着けない、他人の家に上がるなど、日常生活に支障を来すようになると認知症となります。
このように、見当識は「いつ」「どこ」「だれ」を認識する能力です。
つまり、これが障害されることで、日常生活に支障を来すようになるだけでなく、ご本人の不安が徐々に募っていくことは容易に想像できると思います。
アルツハイマー型認知症など多くの認知症は進行性ですが、「初期段階からのご本人に対する意識付けなどの直接的なかかわり」や、「周りの環境調整で、少しでも安心して生活できるようなかかわり」が望まれます。
見当識障害の例
・季節に見合った服装ができなくなった
・昼寝後、朝と間違えるようになった
・外出先から帰る道が分からなくなった
・親戚や友人の名前が分からなくなってきた
見当識に対するリハビリ
季節や場所を意識する作業(時・場所の見当識)
家庭菜園など庭で野菜を栽培したり、花を育てたりすることで、四季の移り変わりを感じながら作業することができます。
植物の世話をするために定期的に外に出て外気温を体感したり、作物の成長を見ることで季節・天候・時間・場所などを意識する機会となります。
栽培するものは、旬の野菜や季節に合った花が良いでしょう。
野菜では、夏はトマトやナス、冬はホウレンソウや大根、花では、春は菜の花、夏はひまわり、秋は菊など、高齢者になじみのあるものを選ぶと良いでしょう。
また、「暖かくなりすっかり春ですね」や「畑まで来ると運動になりますね」など、季節や場所を意識するような声かけを行うと良いでしょう。
自己認識の維持・改善を行う(人の見当識)
家族の写真を居室に飾り、その写真を使って家族についての話を聞くことで、人の見当識に働き掛けることができます。
ご本人も一緒に写っている写真であれば、より良いでしょう。
また、自分史ノートを作ったり、アルバムを見ながら話をすることもできます。
ただし、思い出させようと質問攻めにならないように注意しましょう。
【情報提供元】
■リハージュ「なるほど!認知症のリハビリ・ケア」(一部抜粋)
https://dayshop.biz/products/detail/292
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