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デイ利用中に「かばんがなくなった」と訴えるEさん(2)

2025.01.31

Eさん(女性)・アルツハイマー型認知症

●記憶障害は見られるが初期の状態であり、全く覚えられないわけではない

●日常生活はほぼ自立

【前回の内容は下記よりご覧ください】

デイ利用中に「かばんがなくなった」と訴えるEさん(1)


1年半後、常にかばんを気にするようになったEさん

記憶障害が顕著に見られるようになったEさんは、自分でかばんを片付けても、それを覚えておくことができなくなり、「あれ?私のかばんがない」「私、誰かにかばんを預けたと思うんだけど、どの人だったかしら?」と常に自分のかばんを気にするようになりました。
よく似たかばんを持っているご利用者を見つけてはそばに行き、「あんた、それ私のじゃないの?見せてもらっていい?」と確認しようとすることで、ほかのご利用者とトラブルになることも多くなりました。


覚えなくても安心できるような環境づくりを工夫する

Eさんが「覚えられない」ために自分のかばんがどこにあるか分からず不安になっているのであれば、「覚えなくても安心できるようにすればいい」と考えました。
Eさんの座る場所を変更し、視線の先には常に「利用者専用の荷物棚」が見えるようにしたところ、「あっ!あれが私のかばんや」と安心する様子が見られるようになりました。
ただ、レクリエーションや行事などでどうしてもその席を離れないといけない状況もあります。
「私のかばんがない。誰かが持って行ったんや」と言い出し、ほかのご利用者を巻き込んで、レクや行事を楽しむどころではなくなることも度々でした。
そんな様子を見たスタッフの一人が、「昨日カフェで、店員さんが『かばんをどうぞ』ってイスの横にカゴを置いてくれたんです。Eさんも席の横にカゴを置いて、かばんを入れてもらえばいいんじゃないかな?」という意見を出しました。
さっそくカゴを準備してみたところ、Eさんは足元に置いてあるかばんを見て「私のかばんはここにあるし安心や」と落ち着いてレクや行事を楽しめるようになりました。


不安を安心に変える、そして不安にならない環境を整える

アルツハイマー型認知症は進行する病気です。
だからこそ、その進行に合わせて、そのときにベストなケアを提供する視点が大事です。
ご利用者がお風呂に自分の持ち物(かばんなど)を持って入ろうとする場面を見たことはありませんか?
「覚えられなくなる」ということは、大切な物を目の届かない所に置くのが「不安になる」ということです。
私たちは、自分の持ち物を脱衣所のどこに置いたかを覚えているから、安心してお風呂に入ることができます。
そう考えると、私たちはどれだけ記憶に助けられているか、「記憶が暮らしの安心に直結している」ということが分かると思います。
私たちも、人がたくさんいる場所では大切な物は片時も離したくないと思います。
「覚えられない」ご利用者が、自分の持ち物をずっと持っていたい、誰にも預けたくないと思う気持ちも分かるような気がしませんか?

事例では、不安になったEさんに気付いたスタッフがかばんの置いてある棚を見せることで、Eさんの「不安」が「安心」に変わっていきました。
でも、本当に大事なのは、物盗られ妄想が出現したときにどうしたら落ち着いてもらえるかではなく、物盗られ妄想を起こすことなく、その人らしく暮らせることです。
「不安」になった人に「安心」してもらうのではなく、なるべく「不安」にならなくても済むように、ケアの環境を整えることが大切です。
私たち専門職は、目に見える行動だけでなく、「焦り」や「不安」といった目に見えない相手の気持ちにもっと敏感にならなくてはなりません。


【情報提供元】

認知症ケア最前線

https://dayshop.biz/

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https://tsuusho.com/dementia

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