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過剰介護の防止

2020.09.04

ポイント

●本人ができることは本人にしてもらおう

●身体面の過剰介護の防止と精神面(認知面)の過剰介護の防止

●本人の生活、人生を支える視点から判断をしよう


過剰介護が望ましくない理由

「過剰介護」は、本人の残存機能を発揮する機会を奪うことになり、その状態が続くと、機能が低下する「生活不活発病(廃用性症候群)」が発生します。

例えば、自分の力でイスから立ち上がらないでいると、徐々に下肢の筋力が落ちてきて、やがてはイスから立ち上がれなくなってしまうなどが挙げられます。

生活不活発病による機能低下で、今までできていたことまでできなくなってしまうのです。


できることは本人にしてもらおう

能力を維持するためにも、できることは本人にしてもらうことが大事です。

本人がどこまでできるのかを見極め、必要最小限の介助を心掛けましょう。


身体面と精神面(認知面を含む)の過剰介護

過剰介護には、「身体面の過剰介護」と「精神面の過剰介護」があります。

身体面の過剰介護予防ばかりに目が向きがちですが、精神面・認知面の過剰介護予防も重要です。

いずれの過剰介護も予防するよう心掛けましょう。


■身体面の過剰介護の例

自分でベッドから起き上がれるのに、手伝う方が早く済むので、つい起き上がりを手伝ってしまう

■認知面の過剰介護の例

時の見当識が低下し始めている人に対して、職員が「12時になったのでお昼の時間ですよ」と教えてしまうと、時計を見て時間を判断する機会を奪ってしまう


本人の生活、人生を支える視点から判断をしよう

介護は、その人の生活・人生を支援するサービスです。「何を大事にするべきか」を総合的に考慮して介護することが重要です。

過剰介護の防止は「自分ができることは必ず自分でしてもらう」ということではありません。例えば以下のような場合、①②どちらの対応が適しているのか、本人の生活や人生での優先順位を考えて判断することが大切です。


【ケース1】

ある晴れた日、時間をかけて頑張れば自分で身支度ができるAさんと1対1でかかわる時間が20分できたので、散歩に出掛けることになりました。

①20分のうち、15分かけて自分で身支度をしてもらい、5分間散歩する

②せっかくの良い天気だからと身支度を全部手伝って5分で済ませ、15分間散歩する


【ケース2】

自分の手で食べられるようにリハビリをしているBさん。久しぶりに妻が面会に来たので様子を見に行くと、妻がBさんのためにりんごの皮を剥き、食べさせようとしていました。

①妻に「自分で食べてもらうようにしてください」と言って食べさせることを禁止する

②久しぶりの夫婦の時間だから、「食べさせてあげる・食べさせてもらう」という夫婦間の行為を大切にする


本人の生活、人生を考えたとき、どのような対応方法が良いのかについては、それらを総合的に考えて判断することが大切です。


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